約 6,940,390 件
https://w.atwiki.jp/nightwind/pages/20.html
ウィザード・ハイウィザード ウィザード・ハイウィザード 概要 全般 攻城時 防衛時 推奨装備武器 盾 頭 鎧 かけるもの 靴 アクセサリ コート希望部位 Tips 概要 攻防時の火線を構築する。 QMによる移動/攻撃/詠唱速度減 全般 指定地点へ行くことを優先し,移動中は長詠唱魔法を用いない。 常に数人の味方と行動することを心がけ,孤立しないようにする。 大魔法地帯以外で単体~3人程度を相手にする場合は, 範囲魔法ではなくJTなどの単体魔法を用いて一人に集中攻撃を行う。 攻城時 封鎖時は防衛時に準じた火線を,指揮に指定された場所へ敷く。 ~ レース状態の場合は歩きながらQMとFWの設置を行う,不発時は粘らない。 他ギルドと共闘する場合は範囲魔法ではなく単体魔法で防衛側を攻撃する。 後発で防衛ラインに入り込み、QMを撒き散らす。 非常に効果が高いのでこのときは身を守りつつ粘る。 防衛時 復帰時に封鎖されて戻れない場合は,指示に従ったタイミングで戻るようにする。 その際もQM・FW等で敵の邪魔を怠らない SG/MSによる大魔法地帯の構築を,指揮の指示した担当に従い行う。 QM/FW担当はQMを優先し,常時出現地点付近~大魔法地帯に出ているようにする。 MS担当は敵侵入前まではFWを3枚まんべんなく設置する。 侵入後は敵が減るまでMSに集中する。 大魔法地帯に罠が無い場合,大魔法の密度が落ちない程度に出来るだけFWを使い足止めの補助をする。 罠再設置の合図が有った場合,敵が待機していなければ一時的に範囲系魔法を控える。 ロキを出すタイミングの時は一時的に魔法を控える。 推奨装備 Int126,無理であれば120(119)になるようにIntを優先し装備で調整を行う よほど隙の多い乱戦を除いて、DEXの優先度は低い。 また突撃用の装備も必要である。INT/DEX装備で突撃してはいけない 武器 ★★★ バイタル (攻城/復帰用) ★★ デクストロース (DEX用) ★★ 骸骨の杖(INT用) ★★ フォーチュンソード (攻城/復帰用) 盾 ★★★ クラニアル ガード 頭 ★★★ あれ (対人汎用) ★★ エリュダイト サークレット(INT用) ★★ 名射手の林檎 (Dex用) ★★ ピアレス サークレット(対沈黙用) 鎧 ★★★ アンフローズン シルク (凍結100%防止 移動/汎用) ★★★ アクア シルク(攻城用) ★★ ハード ロング/メントルetc(防衛用) ★ ゼピュロス シルク(対JT用) ★ ポイズンド/デッドリー シルク (対インベナム用,毒には掛かるがダメージと状態異常付加を回避できる ヒール無効) かけるもの ★★★ イミューン マフラー (無属性20%減) ★★ ぼろマント 靴 ★★★ オブ ウィッチ シューズ(防衛用) ★★★ グリーン シューズ(汎用) ★★ ガラスの靴(攻城用) アクセサリ ★★ ニンブル (DEX用) ★★ イヤリング (Int用) ★★ オブ フラッシュ(攻城/復帰用) コート希望部位 最優先:強いて掛けるなら盾だろうか 基本的に不要 Tips QM,SGは左下から右上に発生する為,範囲の最も左下のセルが一番不発しない。 プロボックされた場合は硬直してしまう,硬直解除にはサイトか応急処置を使うと良い。
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/360.html
※ 柊蓮司がその少女と出会ったのは、初めて訪れた見知らぬ街での、ある日の早朝のことだった。 ※ 周囲の大気に充満する、肌を刺すような殺気。 澱のように沈殿する淀んだ気配が、足元から胸元までせり上がって来るような感覚に、ごくりと音を立てながら思わず生唾を飲み込む。 自分を格好の獲物と見たものか ――― 取り囲むように包囲の輪を狭めてくるのは、不恰好にねじくれた姿をした、到底人間のパロディーとしか思えぬような異形の姿をしたものどもだった。 あるものは二本足で直立する獣であり。 あるものは四肢の先端に巨大な鉤爪だけがグロテスクに強調されて生え揃った、四足歩行の“人間だったもの”。 見回せばそんな連中が、ざっと数十体。ぐるりと、自分のことを取り囲んでいるのである。 依然振り切ることの出来ない悪寒と吐き気は、目の当たりにした怪物たちの姿に違和感と嫌悪を覚えた所為ではない。この程度のクリーチャーとはかつて幾度も交戦を重ねてきたし、見てくれだけなら彼ら以上のおぞましいモノとも戦ったことがある。 だが ――― やはり、空気が濁っている。 やはり、大気に淀んでいるものがある。 かつて感じたことの無いこの感覚は、彼の戦闘能力を削ぐほど深刻なものではなかったが、それでも決して気持ちのよいものではない。 「なんなんだよ、こりゃ……エミュレイターじゃ、ねえのか……?」 彼 ――― 柊蓮司の口から、歯軋りと同時に疑問の言葉が漏れ聞こえてきた。 見上げた空には、燦燦と降り注ぐ太陽の光。紅い月は、見えない。 ただ、辺りを包む空気の“濁り”だけが、深々と降り積む雪のように濃度を増していた。 「んなこと言ってる場合じゃ、ねえけどよ」 脳裏を蝕む疑問を振り払うように、吐き捨てる。 手を虚空に差し伸べ、なにも無いはずの空間から彼自身の武器を引き抜いた。 魔剣の柄が。ルーンの刻まれた刀身が。 するり、するりとなにも無い空間から突如として現出する。 月衣から、文字通り魔法のごとくに剣を引き抜いた柊の動作に、異形どもがたじろいだ。 容易く蹂躙できる相手ではないと、獣の本能で悟ったのであろうか。 大上段に構えた剣に渾身の膂力を込め、大地に楔を打つように脚を根差した磐石の構えは、どことなく物語に聞く剣豪を髣髴とさせる。 言うまでもなく、数多の戦いを生き抜いてきた歴戦の猛者だけが持ち得る迫力と風格を、いまの柊蓮司は身に纏っていた。 「わけもわからず他所の街に放り出された挙句、また学校通い。しかも登校初日から戦闘とは、先が思いやられるぜ……」 闘気が膨れ上がり、剣気が鋭さを増し。 それでも口調だけは普段の彼がぼやくときの、いつもの口調で柊は言う。 身を包む淡いグレーのブレザーは、これからしばらく彼が通うことになった、任地である学園の制服だ。たしか、私立瀬戸川学園 ――― そんな名前だったはずである。 詳しい成り行きの詳細は割愛するとして。 相も変わらず飽きもせず、任務という名目で柊をこき使うことに微塵の躊躇も感じることのない銀髪の美少女によって、柊は目出度く二度目の学園生活を送る羽目となったのだ。 今回もご他聞に漏れず、連れてこられるまでの状況の詳しい説明は一切なし。街中をぶらついていたところを問答無用で拉致されて、連れて来られたのは毎度お馴染みアンゼロット宮殿。 宮殿の主たる“世界の守護者”は、 「これからするわたくしのお願いに、ハイかイエスで」 定番の台詞を最後まで言わずに、そのほっそりとした繊手を頭上に伸ばした。 途中で言葉を切ったのは、ただ単に恒例の儀式を端折っただけであろう。 最近では、こんなことまで手を抜きやがる ――― 後にこのときのことを思い出して、柊はひどく憤慨したものだった。 兎にも角にも、いつもの“お願い”の台詞を中途半端なところで切ったところで、天井からぶら下がった飾り紐を、少女 ――― アンゼロットはぐいっと思い切り良く引っ張った。 足元の床がパクリと音を立てながら底を抜き、異空間に浮かぶ宮殿から、柊の身体が宇宙空間へと思い切り放り出されたのは言うまでもない。 ウィザード固有の個人結界、『月衣』の存在がなければ到底できない暴挙に、 「アァァァァァンゼロットォォォォォっ! 憶えてやがれぇぇぇぇぇっ!」 これもまたお決まりの台詞を叫びながら、柊は真っ逆さまに母なる地球へと落ちて行った。 現地で協力者を募れ、と最後に笑いながら言い放ったアンゼロットが、ひらひらとハンカチを振りながら自分を見送る姿が視界の片隅に入る。 そして ――― お決まりの手順をお約束通りに踏み、見知らぬ街に叩き落された柊は、現地で待ち受けていたロンギヌスに新しい学生服を手渡され、任務の間、彼が住むアパートへと案内されたのである。 ならば初めからここの住所を教えてくれればいいものを、と内心アンゼロットに悪態をつくのだが、これもいまに始まったことではないことに改めて気づき、諦めの溜息を吐く。 「追って、任務の詳しい内容は連絡が入るかと思われます」 ロンギヌスの仮面の向こうから、そんな事務的な調子で言われると、もうぼやく気力も失せた。 どうして初めに任務の説明をしておかないのか、という愚痴も、この状況では今さらのような気がしないでもない。 こうして、なんだかんだでいつものように始まった新しい任務。 任務初日の朝を迎え、任地である瀬戸川学園への通学路を歩む柊は、さっそく異形のものの襲撃を受け、戦いに巻き込まれたわけであるが ――― 「なんだか訳のわからねえことだらけだ ――― ぜっ、と!」 刀身が閃き、その切っ先が空間を真一文字に薙ぎ払った。耳障りな絶叫と、血飛沫が上がる。 言葉と同時に振り払われた魔剣の一撃が、踊りかからんとした異形の一体の機先を制し、その胸元を切り裂いたのである。 訳のわからないこと ――― それはこの異形のものたちの存在である。 エミュレイターであれば、出現と時を同じくして空に昇るはずの紅い月が見えない。 周囲に展開されるはずの月匣の存在も、感じられない。 それなのにどういうわけか、この異様な感覚に満ち満ちた重苦しい大気は、所謂“結界”と同様の働きをしているようで、この戦いの喧騒が外部に漏れ聞こえている様子もないのである。 しかし、この状況をいちいち検証している余裕は、さすがの柊にもない。 とりあえず、こいつらをなんとかしなきゃな ――― そう思い定め、続く攻撃に備えるために剣の柄を握りなおした柊の視界に、そのとき突如として戦いの場に踊りこんできたものの姿が飛び込んでくる。 「……っ、おいっ! お前、こっち来るな! あぶねえぞっ!」 柊の顔が一瞬にして青褪めた。彼の視線が捉えたものは、ひとりの少女の姿である。 いったいなにを考えたものか。 その少女は、人外のモノたちと、それに対峙しつつ剣を構える柊の姿を見て、逃げ去るどころかむしろこちらへと駆け寄ってきたのである。 歳の頃は、柊よりも一つ、二つ年下であろうか。 少し長めの後ろ髪を襟足の辺りで簡単に結んだ、快活そうな顔立ちの少女である。 身に着けているものは、柊と同様の学校の制服。 これから彼が通うことになった、瀬戸川学園の女子制服である、と柊は瞬時に察知した。 「私も、手伝うよ!」 無謀にも、少女はそんな台詞を吐いた。 その瞳には強い意志の光。迷いのない、よく通る声音。だが、しかし。 「馬鹿ヤロウっ! こっち来るんじゃねえよっ!?」 つい、柊が叫んでしまったのも仕方のないことであっただろう。相手はなんといっても、見かけは普通の高校生の少女なのである。 (それに、あの手の顔つきと……この手の言動するヤツは ――― ) 困っているから助太刀しよう、大変そうだから私も協力しよう。 そうやって、考えなしに飛び込んでくるような性格に違いないのである。 柊は、普段の自分の言動は見て見ない振りをして ――― いや、彼のことだから本当に自覚がないのかもしれないが ――― 戦いの場に飛び込んできたこの少女に、随分と失礼な人物評を下したのだった。 (それにしたって、どう見てもここにいるのは化け物で、襲われている当の俺にしたって、物騒なモンを振り回しているんだぜ?) 内心でそうぼやく。 (現地の協力者……アンゼロットの言ってたウィザード……ってことなら納得だが ――― ) そうでもなければ危機管理意識のとことん欠如した、底抜けのお人よしだ。 普段、自分が朴念仁だの、後先考えなしの猪武者だのと周囲に思われていることなど、彼は完全に度外視している。人間、他人のこととなると物事がよく見える、の良い見本であった。 「おい、お前! 一応訊いとくが、ウィザードなんだろうな!?」 それならそれで、少女と共闘したほうが簡単に事を済ませることができる。 違うなら違うで、彼女にはやはりこの場は退場願わなければならない。 どちらにしても、彼女がウィザードであるかどうかはキチンと確認しておかなければいけないことであろう。 ところが柊の予想は悪い方向に当たったらしく。 「うぃざ………? なにそれ?」 こちらに走りこみながら、少女は柊にしてみれば最悪の返答をしたのだった。 きょとん、とそんな音が聞こえるほど。 ? というマークが目にも見えるほど。 ウィザードなんて私、知りません、とでも言うような、あまりにも朴訥そうな顔をして。 「だああああっ!? やっぱり来んなっ! 引き返せよ、おいっ!?」 叫んでも、もう遅かった。少女の意外なほどの健脚は、ベースボールで二塁を盗むランナーよろしく、戦いの輪の中に滑り込み ――― 結果として、むしろ柊よりも多くの人外に周囲を囲まれてしまったのであった。 訂正。 囲まれたのではない。 少女は、わざわざ化物たちの密集する地点に、頼まれもしないのに飛び込んできたのである。 最悪の想像が最悪の形で現実となり、柊の背筋に冷たいものが走った。 自分の戦いに、なにも知らない善意の第三者(?)を巻き込んでしまった。もしそれで彼女に怪我でもさせてしまったら。いや、それどころか命に関わるような危機に陥れてしまったとしたら。 「……っ、それこそ、悔やんでも悔やみきれねえだろーがっ!!」 叫んで、大地を思い切り蹴り。一足飛びに少女の立つ地点へと走る。疾風のごとく身を翻し、人外のモノたちの作る壁を突き抜ける。 鉤爪が。牙が。凶器のごとき長い尾が。 走る柊に襲い掛かる。 それを魔剣で受け流し、巧みなステップでかわし、それでも避けきれなかった幾つかの打撃を身体に受けながら。痛みによって漏れそうになる呻きを噛み殺して、柊は走った。 自分の身体の傷なんてなんということはない。それより一秒でも、いや何十分の一秒でも、あの人の良さそうな少女の前に立ち、自分が盾にならなければ ――― その想いだけで柊は走る。 しかし。 地の底から響くような咆哮と共に、少女の眼前に立つ化物のうち一体が、丸太のように太い腕を振り上げ、彼女の頭上へとその凶器を振り下ろした。 「くそっ、間に合わねえっ!?」 身を切るような思いと共に、柊が叫ぶ。同時に、また“あの悪寒”が肌身を刺した。 大気に満ちていく、微粒子のような不可視の異物。常識外の違和感。しかし、月匣やエミュレイターの放つ気配とは確実に異なる、未知の感覚。 そして、柊は気がついた。 その新しい違和感が、あの少女から発せられているのだということに。 「なにっ……!?」 思わず、柊の口から驚嘆の叫びが漏れる。 少女は、身構えていた。 けっして怖れることなく。背を向けることなく。 腰に溜めた腕の先端。虚空に開かれた手のひらに無数の輝きが生まれ、また収束していく。 それは次第に確かな形を形作り、輝きは美しい白銀へと色彩を変えていった。 光が濃縮され、凝縮され、生まれ出ずるその形は。 まさしく、柊が手にしたものと同じ ――― 一本の剣の形をしているのだった。 眩いばかりに光り輝く、一振りの剣。 それが、ウィザードのように月衣から取り出したものではないことは柊の目にも看破できた。 周囲の光源を意志の力で掻き集め、戦うための武器を作り出した ――― そんな形容が正しいような気がする。 あまりにも唐突な展開に息を飲む柊の眼前で、光の剣が煌いた。 耳障りな悲鳴と共に、瞬く間に胴体を両断される化物たち。 思わず安堵の息を吐きながら、柊が振り返りもせずに自身の魔剣を背後に突き出した。 ずぶり、と柔らかいものを貫く感覚。そして新たなる断末魔の悲鳴。 背後からの襲撃に、柊が無造作に繰り出した魔剣の刺突は、確実に彼に襲いかかろうとして迫り来た化物の急所を寸分狂わず刺し貫いた。 「ったく。戦えるなら言ってくれって」 頭を掻きながらブツブツとぼやく。そして、 「……まあ、文句を言うのはこいつらを片付けてからにすっか!!」 そう叫ぶと同時に駆け出した柊と、光の剣を振るう少女が、この戦いを終えるのに、そう長い時間はかからなかった ――― ※ 戦いは、思ったよりもあっけなく終結した。 少女を無力な一般人と思い込み、彼女を助けようと防御や回避を度外視して駆け出した際に、多少のかすり傷を負いはしたが、それ以降柊が負傷することは決してなかった。 また、少女は少女でこの手の戦いにはかなりの経験を積んでいるようで、怪我どころかわずかな汚れすら制服に負うこともなく、けろりとした顔をしているのである。 「おい、あのさ ――― 」 聞きたいこと、確認したいことは山積みである。 月衣に魔剣をしまいながら、柊が少女に声をかけた。 「あ、ごめん、ちょっとだけ待って」 そんな柊を手で制しながら、少女は謝りつつポケットから携帯電話を取り出し、どこかへと連絡を取り始める。言葉の端々に、「戦いに巻き込まれて」とか、「結構大惨事だよ」とか、「処理をお願いしたいんだけど」とか、そんな言葉が漏れ聞こえてきた。 おそらく、“この手の事情”に詳しい別の人間 ――― 事件の事後処理能力を持ったものか、そういった類いの人間や組織にコネのあるもの ――― と、話をつけているのであろう。 わずか四、五分で会話は終わったようで、ふう、と深い溜息をつくと、少女はくるりと柊を振り向いた。 「見かけない顔だよね? 制服も新しいし ――― って言ってもボロボロか ――― 、もしかして君、転入生?」 こちらから質問をぶつけようとした柊の機先を制するように、少女はそう言った。 なぜか、その瞳がキラキラと輝いている。期待に満ちた、というか、そんな目の色だった。 「お、おう……柊、柊蓮司ってんだ。今日から瀬戸川に通うことに……」 こちらに身を乗り出すほどの勢いで尋ねてくる少女の迫力にたじろぎながら、柊は『仮の身分』を名乗ることにする。同じ学園なら、今さら取り繕って適当なことを言うより、半分は本当のことを話しておいたほうが面倒はないだろう。 それに。 ウィザードではないにせよ、この少女がなにもないところから光の剣を生み出し、怪物を叩き伏せたのは事実なのだ。いずれにせよ只者ではないだろうし、現地でさっそく協力を仰ぐことの出来そうな人間と出会えたことは幸運であるかもしれない。 「やっぱり! 転入生なんだ!」 両手をぱちん、と打ち合わせ、彼女は実に楽しそうに、嬉しそうにそう言った。 「この街も来たばかりでしょ? 新しい学校にも慣れるまでは大変かもしれないよね? ね?」 俺が新しい環境に慣れるのが大変だと、なにがそんなに嬉しいのだろうか? 訝しむ柊などお構いなしに、少女は早口でまくし立てる。 「困ったことあったら、色々聞いてくれていいからね? それと、買い物代行、テストの準備に探し物、物の貸し借り、先生への交渉、なんでもやるよ?」 「お、おい待てよ ――― 」 「あ、お代は結構。いつか役に立ってもらえればそれでOK」 「そ、そうじゃねえって! 大体、お前、なにもんだっ!?」 なんだこの女は!? どうして俺の周りに居る女や、関わり合いになる女ときたら、どこかこう世間の常識を微妙に逸脱したり、浮世離れした連中ばっかりなんだ!? 新しい任地でさっそく戦闘に巻き込まれた挙句、最初に接触した人間が“こんな”一風変わった少女であるということに、柊はいつものことながら前途多難の空気を敏感に察知し、激しく落ち込んでいた。 しかし彼女が柊の内心の煩悶になど、これっぽっちも気づいた様子はなく。 「そっか。私の自己紹介がまだだったね」 屈託なく、朗らかな笑顔を満面に浮かべると、柊に向かって右手を差し出した。 それは多分、握手を求める仕草なのだろう。 差し出された右手と、少女のにこにこ顔を見比べていた柊の手を、少女はぐいっと無理矢理に掴みあげた。 あまりにも強引な握手である。 しかし、その一見図々しくさえ見られがちな行動も、彼女の持ち前の明るさのおかげか、決して悪い気分はせず、むしろその単刀直入さが好ましくさえある。 「私の名前は、七村紫帆。瀬戸川学園の何でも屋」 「なん……でも屋……?」 唐突に耳慣れない単語を聞かされて柊は硬直する。 七村紫帆と名乗った少女は、その笑顔をますます深めると柊の手を解放し、 「お役に立ちますっ!」 そう言って自信満々にサムズアップをして見せたのである。 これが ――― ウィザードである“魔剣使い”柊蓮司と、“オーヴァード”七村紫帆の、あまりにも唐突といえば唐突な出会いであった ――― ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/ragmaswiki/pages/40.html
ウィザード 概要 魔法攻撃特化型の職業。 属性攻撃が得意で、火力が高い半面防御力は低いのでオート狩りの際は注意が必要。 装備可能武器は杖と短剣。下位職はマジシャン、上位職はハイウィザード。 ステ・スキル・育成プラン 主観でもいいのでステ振りや型の紹介など スキル スキルツリー <スキルツリー画像> 一覧 名前 最大Lv 性能 備考 マジッククラッシャー 5 敵単体に無属性物理ダメージ ファイアーボール 10 敵単体とその周辺の敵グループに火属性魔法ダメージ サイト 1 周辺の隠れている敵ユニットを探索。 ゴースト系は探索不可 サイトラッシャー 10 サイトを利用して敵ユニットをノックバック 周囲の敵ユニットに火属性魔法ダメージ ソウルドレイン 10 MaxSPアップ 敵ユニットを一体倒すたびに自身のSPが回復 パッシブスキル エナジーコート 5 物理ダメージ軽減 魔法ダメージアップ ストームガスト 10 指定範囲に水属性魔法ダメージ ノックバック ユピテルサンダー 10 敵単体に風属性魔法ダメージ ロードオブヴァーミリオン 10 指定範囲に風属性魔法ダメージ 確率で暗闇 ヘヴンズドライブ 10 指定範囲に地属性魔法ダメージ スキル詳細 スキルA 説明文 スキルB 説明文 スキルC 説明文 狩場考察 転職~20Lv:下水 20Lv~25Lv:迷宮の森 25Lv~35Lv:沈没船、幽霊船、伊豆D 35Lv~45Lv ゴブリン村、ミョルミール山脈
https://w.atwiki.jp/seirei_san/pages/719.html
ウィザードナイト ウルトラレア 必要魔力 18 近距離 俺嫁→ 攻撃 防御 TOTAL 親愛度MAX 4148 5627 9775 7000 誕生日 6月30日 身長 164cm 体重 51kg 3サイズ スキル 魔封斬り効果 大きなダメージを与えつつ一定確率でしばらくスキルを使えなくする強化後スキル 封魔の一閃効果 かなり大きなダメージを与えつつ一定確率でしばらくスキルを使えなくする 親愛度 コメント 低 修行の旅の途中であなたのウワサを耳にしました。あなたの力、あなたの行く末…私に見届けさせてくれませんか? 中 誰かのために尽くすこと…その想いはやがて大きな力になると聞きます。私は誰かを愛したことがないので、理解しかねますが… 高 私はマスターに個人的な感情を抱いてなど…なな、なんでそんな悲しそうな顔をするのですか!じょ、冗談です!冗談ですから、顔を上げてください! 嫁 …っ、いつもマスターからなので…そ、その、今日は私からキキ、キスを…してみたんです、けど…迷惑、だったでしょうか? 親愛度 セリフ 低 研鑽の毎日…得るものはたくさんあります 一流の魔法騎士になるには…まだまだ修行が足りません ふぅ…少し休憩しようかしら…? …マスター、寝癖がひどいですよ? 中 マスターとの旅は良い訓練になります 身だしなみに気を遣うのも魔法騎士の務めです この帽子は精神を落ち着かせてくれるんです マスター、よろしければ剣の相手をしてほしいのですけど… 高 うぅ、最近胸が少しキツく…って、今の聞いてたんですか!? マスターのせいで…修行に集中できません… マスター、あまりジロジロ見ないでください…は、恥ずかしいです… 付き合ってもらえますか…?しゅ、修行に…ですよ? 嫁 マスターのせいで私の心は…責任、取ってくださいよ…? …そんなに見つめても、スカートの中は見せませんよ…? 私、マスターに相応しい魔法騎士になれたでしょうか…? よ、夜は一緒に寝るんですか?別にかまいませんけど変なことしないで下さいね… ダ、ダメですよこんなところでキスなんて…!皆見てますからぁ…! スキンシップ後 朝 こ、こんなことで、私の気持ちが揺らぐとでも…? 夜 …っ、寝込みを狙うなんて卑怯です…マスター なでなで そ、そんなことされたら、修行ができません!もう、マスターったら… その他 誕生日 誕生日だろうと私は修行を…え、プレゼントを…頂けるのですか? 真冬のタイムデートの思い出 一流の魔法剣士となるため、日々研鑽を積むことが私の課題です。ですから真冬のタイムデートに連れてってもらえただけで十分です…そんな贈り物なんていただかなくても、私は幸せです… 親愛度・中ーコメント:誰かのために尽くすこと…その想いはやがて大きな力になると聞きます。私は誰かを愛したことがないので、理解しかねますが…/セリフ:マスターとの旅は良い訓練になります/身だしなみに気を遣うのも魔法騎士の務めです/この帽子は精神を落ち着かせてくれるんです/マスター、よろしければ剣の相手をしてほしいのですけど…/ -- 名無しさん (2014-08-23 20 13 33) 親愛度・高‐コメント:私はマスターに個人的な感情を抱いてなど…なな、なんでそんな悲しそうな顔をするのですか!じょ、冗談です!冗談ですから、顔を上げてください!/セリフ:うぅ、最近胸が少しキツく…って、今の聞いてたんですか!?/マスターのせいで…修行に集中できません…/マスター、あまりジロジロ見ないでください…は、恥ずかしいです…/付き合ってもらえますか…?しゅ、修行に…ですよ?/ -- 名無しさん (2014-08-23 20 14 27) 誕生日:6/30 身長:164cm 体重:51kg/スキンシップ後・朝:こ、こんなことで、私の気持ちが揺らぐとでも…? -- 名無しさん (2014-09-06 00 03 14) 親愛度・嫁ーコメント:…っ、いつもマスターからなので…そ、その、今日は私からキキ、キスを…してみたんです、けど…迷惑、だったでしょうか?/セリフ:マスターのせいで私の心は…責任、取ってくださいよ…?/…そんなに見つめても、スカートの中は見せませんよ…?/私、マスターに相応しい魔法騎士になれたでしょうか…?/よ、夜は一緒に寝るんですか?別にかまいませんけど変なことしないで下さいね…/ダ、ダメですよこんなところでキスなんて…!皆見てますからぁ…! -- 名無しさん (2014-09-06 00 04 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/203.html
紅い満月が昇るとき、世界は否定され 世界が否定されるとき、銀の雨が降り注ぐ ファー=ジアース、それは常識によって成り立つ『世界結界』で覆われている世界。 この世界には、世界を守る二つの存在がある。 一つは、常識を遮断することによって力を発動する『ウィザード』。 そしてもう一つは、異世界から流れてくる物質『詠唱銀』を受け入れ力を発動する『能力者』。 「月匣!?いや違う、これは!?」 「君も能力者!?でも…何か違う…?」 「ここは、共同戦線と行こうじゃねぇか…!!」 奇妙な雨の中出会ったのは、古代のエミュレイターの力を使う 不思議な訛りの少女。 常識の向こうの世界で起きた非常識、その次の日 アンゼロットの依頼で、柊蓮司はとある学園へ転校することとなる。 「柊さん、貴方にはとある学校へと転校…という名目で潜入して頂きます。」 学園の名は、銀誓館学園。 「おい、俺先月卒業したばっかなんだが…」 「学年は、高校1年でいいですよね♪」 「まてえぇぇぇ!!!」 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/seriale/pages/1599.html
1282919258562.jpg 賞金稼ぎ( Bounty hunter ) テンガロンハットにロングコート、スカーフからブーツまで全身黒尽くめの男 人間、本名・年齢不詳、喋らない .458ウィンチェスター・マグナムを使用する 巨大なダブルアクション・リボルバーを携える 常人では扱いきれない銃を軽々と使いこなすことから 魔法使いのようだということでウィザードと呼ばれるようになった ちなみに弾丸の威力が強すぎて賞金首の顔が分からず金が払われないこともある ∥幻想西部劇
https://w.atwiki.jp/chococornet0000/pages/14.html
◆ ウィザード ◆ 魔法系職の火力専門。 特に単体攻撃力には優れていて 範囲攻撃で一気に敵を殲滅させることも。 基本の攻撃ステータスは、INTとDEX。 よく使うスキルと相談してステータスを割り振ってみましょう。 サブ職としては圧倒的人気は【プリースト】 ウィザードは脆さもあるために プリーストで回復をすることで安定して火力を出すことができます。 また、PTでは火力ときどき回復の役割も可能に。 ◆ スキル ◆
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/240.html
「うぉおおおおっ!!」 カズキのサンライトハートが迸り、ベリトの肉体を吹き飛ばした。 粉砕され消滅するその巨躯の中心、暗く鈍い輝きを放つ六角の金属。 打ち砕かれたその肉体が再生する間隙を逃す事なく、蓮司の魔剣が飛んだ。 激しい金属音と、飛び散る火花。 核鉄に叩き込まれた渾身の斬撃は、しかし一片の傷をつける事さえ適わない。 「く……っ!!」 舌打ちと同時に蓮司は刃を引く。 刃を引かずにいれば魔剣が修復した肉体に巻き込まれるからだ。 同時に噴き出した闇が破損した肉体を修復し、溢れ出した力が消滅した巨躯を再構成させた。 ベリトの超越した再生力の源は、いわずと知れた黒い核鉄。 ヴィクター化の源でもあるその核鉄がエネルギーを無尽蔵に収奪して肉体を修復しているのだ。 故に、ベリトを完全に殺しきるには黒い核鉄を破壊するしかない。 だが、それができなかった。 エネルギードレインの力が暴走している現状では、ベリトとその核鉄に供給される生命力は世界総ての生物のそれに等しい。 人一人の力ではどれほど全力を込めても傷一つ付けるさえできはしない。 瞬間的にならば斬撃の威力を大幅に高める事は可能なのだが、それで殺しきる確証があるかと問われれば、首を横に振らざるを得ない。 (くそ……どうすりゃいい……!) カズキと共に無意味な攻撃を繰り返しながら、蓮司は必死に思考を巡らせる。 この状況では増援は望めないだろう。 強いて言うなら上空にいるベール=ゼファー。 彼女なら黒い核鉄を打ち砕くのも可能かもしれない。 だが、この場にはベルだけでなくリオン=グンタもいる。 ベルが黒い核鉄の破壊に回れば、当然リオンはベリトの防衛に回るだろう。 それを掻い潜り事を成す事ができるか。 わからないが、どうしようもない現状よりはマシだ。 蓮司はベルに向かって叫ぼうと天を見上げ、 「……!?」 天空に浮かぶ巨大な魔方陣に気付いた。魔法発動の際に顕れるモノとは違う。 規模こそ違うが蓮司はそれに見覚えがあった。 それは事あるごとに呼び立てられ、ひっきりなしに任地に送り出される時に使われるモノだ。 つまり―― 「転移結界? ――アンゼロット!?」 ※ ※ ※ 「座標固定完了! エネルギードレイン発生地点より周囲100mを隔離します!」 作戦室にロンギヌスの声が響く。 モニターに映し出されている荒い画像を見据えながら、アンゼロットは小さく頷いた。 蓮司達が闘いに赴いた後、彼女達は座して結果を待っているだけではなかった。 エネルギードレインの発生源であるベリトをファージアースから次元の狭間――アンゼロット宮殿の存在するこの場に引きずり込む。 ベリトの生命力が世界中の生命からの供給であるのなら、これによって供給は絶たれその力は大幅に削減されるはず。 世界の人々をエネルギードレインの猛威から救うと同時にベリトの力を減衰させる策であったが、リオンやモーリーの展開した月匣を潜り抜けてそれを為すには時間が必要だった。 もっとも、それは―― 「――宮殿内の全ロンギヌスに通達」 静かに、だが室内に満遍なく響く声にその場にいたロンギヌス達は振り返り、立ち上がる。 主の言葉を待ち受ける多くの視線を受けて彼女は瞑目し、そして再び言葉を紡いだ。 「現時刻を持って宮殿を破棄します。総員ファージアースに向かいなさい」 「アンゼロット様!?」 背後に控えていたロンギヌス・コイズミが驚愕を露に一歩詰め寄る。 しかし彼女はモニターに映るベリトを厳しく見据えたまま、有無を言わさぬ表情で口を開く。 「これは命令です。逆らう事は赦しません」 ※ ※ ※ 「大魔王ベール=ゼファー。一つだけ訂正をしておきます」 直上に浮かび上がった転送陣の紋様を目にしても、リオンの表情は一切崩れる事はなかった。 対処するでもなく、妨害するでもなく、むしろそれを待ち受けるようにただ沈黙を守っている。 次元の狭間に隔離されてしまえばベリトの力が失われてしまうのは、当然彼女にもわかっているはずだ。 リオンの態度にベルは眉をひそめるしかない。 「核鉄の力を暴走させるのは私の『目的』ではありません」 「何……?」 「いままでの事はあくまで『手段』。私の目的は”ここから”です」 リオンの言葉をようやく理解したベルが明らかに表情を変えた。 それまで顔に浮かべていた余裕が弾けとび、虚空を睨み据える。 「アンゼロット! 転送を止めろ!」 半ば無意味と悟りつつベルは叫び、しかしやはり転送は止まることはなかった。 転送陣が眩い輝きを放つ。 転送が始まり周囲の景色が変わっていく。 移り変わっていく世界の中、リオンは静かに言葉を紡ぐ。 「……彼女が『世界の守護者』である以上、選択肢は他にはありえません」 暴走した黒い核鉄は世界総ての命を蝕む。 エネルギードレインによるベリトへの力の供給を防ぐという意味以上に、『常識』という世界結界を形成する人々護るために狭間の世界に隔離するというのは当然の選択だった。 だがそれは同時に、ベリトをアンゼロットのいる世界に引き込むという事でもある。 それが意味するところは―― 「………ちっ!」 ベルは怒りをあらわにしてリオンを一瞥すると、眼下のベリトに向かって滑空した。 飛翔しながら膨大な魔力を練り上げる蝿の女王を冷ややかに見据えながら、リオンは小さく呟く。 「――王手詰み(チェックメイト)」 「なんだ!?」 急速に入れ替わっていく世界にカズキが思わず周囲を見回す。 一瞬の浮遊感の後、周囲100mが切り取られた大地が海原に沈みこむ。 遠くには荘厳なアンゼロット宮殿。空に浮かぶ巨大な地球。 「そうか、ここなら……!」 アンゼロットの意図に気付いた蓮司が叫んだ。 だが、カズキは勿論蓮司にもこの状況の本当の意味が理解できていない。 同時に上空から雷のような怒声が響いた。 「――退けっ、柊 蓮司! 武藤カズキ!!」 「!?」 弾かれるように見上げた空に、怒気を孕ませたベルがいる。 いや、孕ませているのは怒気だけではない。戦慄を感じさせるほどの膨大な魔力が彼女を中心に荒れ狂っている。 反射的に二人は地を蹴ってベリトから遠ざかった。 が、同時に直感的にそんな事に意味がない事も悟る。 ベルの放つ魔力はくれはが練り上げたスターフォールダウンの比ではない。 目標であるベリトは当然、距離を取った二人どころか転送された大地そのものを消滅させるほどの強大な攻性魔力。 形なき力が形を成す。 それは正に圧縮された太陽。 自分達に向けられていないにも関わらず、身体が灼け骨が溶けるような感触が叩きつけられる。 灼熱の光球は掲げられたベルの手によって更に変形する。 細く長く引き伸ばされたその太陽は指向性を持った核熱の大槍になる。 「――《ディヴァイン・コロナ・ザ・ランス》ッ!!」 ベルの手から極大の閃槍が投擲された。 あらゆるモノを浄化し気化させる天聖の力が一直線にベリトへと走る。 だが―― ベリトは自らを貫き灼き尽くさんとするその力に、まったく眼もくれなかった。 紅の双眸が見つめるのは極大の魔力ではなく。それを放つ裏界の魔王でもなく。 その向こう、遥か彼方に聳える荘厳な宮殿。 その中心に座する、『無限の魔力』。 「 !!!」 ベリトが咆哮した。 それはもう声とすら認識できない無形の圧力。 爆発するように溢れ出した暗黒が迫る閃槍を一瞬で呑み込み、その向こうにいる少女へと殺到した。 ベルは迫る闇に反射的に防御壁を展開し、そして瞬時に悟る。 驚愕する暇も声を上げる暇もなく、闇が防御壁ごとベール=ゼファーを押し潰した。 天を貫く黒い極光を、そして世界を侵食していく闇を、蓮司とカズキは呆然と見つめる事しかできなかった。 立ち竦む二人の前に空から何かが落ちてくる。 ソレは地面に激突し、まるで塵の様に幾度も地を転がってようやく停止した。 「……ベル?」 忘我のまま声を絞り出し、蓮司は地面に目を向ける。 彼女は言葉の代わりに、口から血を吐き出した。 いつも冷笑を称えているその唇が屈辱に歪み、立ち上がることすらおぼつかない。 一撃。 たったの一撃で、裏界においても五指に入るだろう力を持つ大魔王ベール=ゼファーを一蹴した。 「――無駄です」 その事態を理解する事さえもできずに立ち尽くす二人――そして屈辱に歯を噛むベルに、リオンの声が響いた。 「『守護者』の力を得た以上、もはや現身でしかない今の貴女では勝てません」 「守護者の力……」 世界の守護者たるアンゼロット。 神との契約によってその行使を禁じられているその力は無限とも言われている。 ベリトはエネルギードレインによってその無限の力を奪い取ったのだ。 世界総ての命どころの話ではない。 「そんな力を得たベリトを、制御できるとでも……!」 ベルが満身創痍の身体を引き摺るように立ち上がり、冷淡なリオンを睨みつける。 無限の力の直撃を喰らってなお生き延びる彼女の生命力は驚愕に値するが、既に立ち上がる事しかできないのは明白だった。 リオンはそんなベルを見つめたまま、唇をほんの僅かに歪めた。 「制御する必要などありません。何故なら、アレはすぐに消える事になりますから」 「……っ。ソレで世界を滅ぼすというならまだしも、そこまで走狗に成り果てるつもり……!」 ベルが嫌悪感も露にリオンを睨みつける。 しかし彼女は冷然とした表情を一切崩す事なく、静かに言葉を返した。 「私はあの方の忠実なる従僕。それ以上でも、それ以下でもありません」 「本当に忠誠を誓っているのなら、殊更に『忠実』なんて言葉は使わないものよ。モーリーのようにね」 「―――」 突き刺すようなベルの言葉にリオンの身体が小さく揺らいだ。 端整な眉を僅かに歪め、冷たい薄青の瞳の奥に感情の灯が灯る。 そこに畳み掛けるかのようなベルの声が飛んだ。 「あいつが望んだ時に望んだ知識を与えるだけ……そんな生き方、あんたが持ってるその書とどこが違うの、リオン!」 「……っ」 リオンは答えない。 だがそれは沈黙を保ったというよりは、答えに窮するといった方が正しい。 唇を噛み、手にした書物を握り締める。 彼女は小さく肩を震わせると、ゆっくりと手をベルへと伸ばした。 「――貴女は、うるさい」 手の平から魔力が膨れ上がり放たれる。 先のベリトの一撃からすればそれは取るに足らない威力のものであったが、今のベルにはそれを避ける余力すら残っていなかった。 「――っ」 放たれた闇の魔力がベルの身体を呆気なく貫く。 まるで糸が切れた人形のように、ベルは崩れ落ちた。 「ベル!」 「リオン……!」 蓮司とカズキが同時に身構える。 しかしそれに動いたのはリオンではなく、その眼下、胎動する闇の中にいる巨狼。 ベリトの紅の凶眼が鈍く光る。同時に闇の極光が走り抜けた。 反射的に蓮司とカズキは防御し――ようとして。 ――次に気付いた時には、闇に食い尽くされた空を見上げていた。 (なに、を――) されたのか全くわからない。 否、攻撃をされたのだ。 ただそれが二人の反応を圧倒的なまでに……攻撃を受けたことを認識できないほどに、超越していたというだけ。 状況の理解と同時に感覚がようやく追いついてくる。 思い出したかのように全身に痛みが湧き上がってきた。 超越しているのは速さだけではない。その威力もまた、耐えきれるようなレベルではない。 「が、ふ」 そう、レベルが違う。 強いとか弱いとかいうそういった比較の物差しではなく、存在としての桁が違う。 おそらくその気になっていれば、ベリトは二人を肉片一つ残らず消し飛ばす事もできただろう。 なのにまだ生き残っていられるのは―― 「……ようやく出てきましたね」 リオンの声に蓮司とカズキは軋みを上げている身体を必死に持ち上げた。 前方にいるリオンとベリト。 両者の間に立ち塞がるように、空間が傾ぐ。 「守護者の持つ無限の魔力を得たベリトを倒し得るのはただ一人。つまり――」 動けない三人を守る様に顕れた人影。 長い白銀の髪を揺らしてリオン達に立ち塞がる、一人の少女。 「――ようこそ、”真昼の月”アンゼロット。この舞台は貴女のために用意したのです」 「――始めから、手遅れだったという事ですね」 険しい表情でリオンを見据えながら、アンゼロットは静かに口を開いた。 リオンは何も語る事はせず、ただ小さく唇に笑みを作ってそれを肯定する。 ――そもそもの話、リオンやベリト達の操るホムンクルスが出現しだしたのは昨年の末。 対するにアンゼロット達ウィザードがこの地を訪れ動き出したのはその約一ヵ月後……つい最近だ。 目的がベリトのヴィクター化による世界総ての生命の収奪であったというなら、ウィザード達が動き出す前に総てが終わっている。 事実、その基幹となるカズキの持つ黒い核鉄の奪取は、過日のリオンの介入によっていとも容易く為されているのだ。 そして奪取からベリトのヴィクター化までの行程はほぼ数日で終わっている。 やろうと思えば年をまたぐ前に完遂してしまえたにも拘らず、ウィザード達が動き出すまでの一ヶ月間、リオン達は表立って行動する事がなかった。 それは何故か。 待っていたのだ。ウィザード達が動き出すのを。 ウィザードを率いる彼女を。 「アンゼロットを……?」 軋む身体を無理矢理に引き摺って立ち上がった蓮司が、呻くように疑問の息を漏らした。 確かに世界の守護者たるアンゼロットの力はこの世界の何物をも凌駕するだろう。 だが、契約に縛られる彼女はその力を使う事ができない。 だからこそ彼女はウィザード達を使ってこの世界を守護しているのだ。 「……頭が悪いですね、柊 蓮司」 無貌の秘密侯爵は嘲るでもなく、呆れるでもなく、ただ静かに事実だけを述べた。 「此度の一件においてウィザード達の動きが遅れたのは、偏に錬金戦団とウィザード達の確執によるもの――」 戦団のみならず、絶滅社、聖王庁、一条家、トリニティ、国土防衛隊、米国特殊部隊レイヴンロフト……数え上げれば暇がない。 エミュレイターに対する組織の垣根を越えた連合――『ウィザーズユニオン』などと称していたところで、その実態は己の利益と権威を優先する人間同士 の確執の集まりなのだ。 自らが薄氷の上に立っていることを理解していながら、共通の敵が存在していながら、なお相争いあう人間達。 それがかろうじて瓦解せずに済んでいるのは―― 「貴方は彼女を身勝手で理不尽な存在だと思っているでしょうが……その『身勝手で理不尽』なまでの統率がなければ、 そもそも人間達が結束する事などできはしないのです」 リオンの言葉を瞑目したまま聞いていたアンゼロットは何も答えない。 肯定も否定もしなかった。 そんな彼女を漆黒の瞳で見つめたリオンは、薄く微笑を浮かべて手にした書物を軽く撫でる。 「ここまでくればもはや他の運命が干渉する余地はありません。この書物に記された結末は唯一つ」 そしてリオンはまるでアンゼロットに道を譲るように身を引いた。 眼前に開かれた彼女の視界に映るのは、自らの力を喰らって守護者と同等の存在に成り果てた赤銅の巨狼。 「手を出さない、というのであればこのままファージアースに帰還させてもらいます。ご自由に処されてください、『世界の守護者』よ」 感情を込めず、しかし明らかにそれとわかる挑発にアンゼロットは小さな拳を握り締めた。 ベリトを倒し得るのは同じ無限の力を持つアンゼロットただ一人。 しかし、自ら手を下す事は力の使用を禁ずる神との契約に悖る行為でもある。 たとえ世界を守るための非常手段であったとしても、契約は例外を赦さない。 非常手段を行使するに至った時点で既に、守護者としての役割に不適格とみなされるからだ。 すなわち彼女に待っている結末は、ベリトと己の消滅だけ。 アンゼロットはその結末を理解しながら、しかし毅然としてゆっくりと歩を踏み出した。 「……アンゼロットッ!」 「アンゼロットさん!」 叫ぶ蓮司とカズキに、しかしアンゼロットは振り向かない。 毅然とベリトを見据えたまま、揺るぎのない声で銀髪の少女は断言した。 「わたくしは『世界の守護者』。世界を守るためであるならば、いかなる犠牲も厭いません。 それは――わたくし自身の命とて、例外ではないのです」 言って世界の守護者は、再び歩き出す。 一歩、また一歩と二人から遠ざかり――そして自らの滅びへと赴いていく。 蓮司は僅かに歯を食いしばり、僅かに顔を俯けた。 カズキは身を震わせて、サンライトハートを掴む拳に力を込めた。 「……アンゼロット。お前に……言いたい事がある」 蓮司が搾り出すような声を上げると、彼女は僅かに歩を緩めた。 彼を振り向かないまま、静かに眼を閉じて彼の言葉を待つ。 蓮司は僅かな沈黙の後――顔を上げて、力強くそれを言い放った。 「―――意外と頭が悪いんだな、アンゼロット……!」 「な、っ」 アンゼロットの顔が驚きに歪む。 別に彼に対して何か甘い言葉を期待していた訳ではない。 だが、ここでそのような暴言を吐かれるのは完全に彼女の想定外だった。 思わず振り向いてしまった彼女が眼にしたのは、言ってやったといわんばかりに不敵な笑みを浮かべる蓮司の姿だった。 「何度も何度も俺をいいようにこき使ってるくせに、まだ理解してなかったのか」 「ひ、柊さん……?」 悲鳴を上げる身体を無視して、蓮司はアンゼロットに向かって歩き出す。 それに続くようにカズキも、彼女に向かって歩を踏みしめる。 「俺は世界のためだからって犠牲を受け入れる事なんてしねえ。大のために小を殺すなんて事はしねえ。そいつはな――」 蓮司は呆然と立ち竦んでいるアンゼロットの目の前まで辿り着くと、力強く彼女の腕を取り、引き寄せた。 「――そいつは、お前の命だって例外じゃねえんだよ」 「……っ」 強張った少女の小さな身体を抱き止めると、蓮司は身体を入れ替えるようにしてアンゼロットを後ろに押しやった。 少し乱暴に押し出されたアンゼロットは僅かに身体をよろめかせ、そして我にかえって呻く。 「あ、あなた……!」 詰め寄ろうとしたアンゼロットを、差し伸ばしたカズキの腕が制した。 彼も蓮司と同じように、彼女を護る様にしてベリトに立ちはだかる。 「オレも蓮司と同じだよ。オレは、アンゼロットさんも含めて皆を守りたい。どんなに小さくても、犠牲を出すやり方なんて……そんなのは嫌だ」 「……っ」 アンゼロットは言葉を失って唇を噛む。 彼女は肩を震わせると、僅かな怒気を孕ませて目の前の二人に叫ぶ。 「アレはもう貴方達の手に負えるモノではありません! なのに――」 「それでもッ!!」 アンゼロットの声はカズキの一声に断ち切られる。 彼は手にした光槍を一閃して、ベリトを見据えたまま言葉を続ける。 「それでも、オレ達はここにいる! 何もできずにやられるのなら、仕方ないかもしれない! ……けど! 『何もしない』で諦める事は――できない!!」 カズキの叫びに蓮司は苦笑を閃かせると、彼と同じように魔剣を一閃させてアンゼロットに背を向ける。 「……そういうこった。諦めるなら、俺達がやられてからにしてくれ」 「貴方達……っ」 絶句するアンゼロットに、二人は話は終わりとばかりにベリトに向かって駆け出した。 そして無謀な抵抗が始まった。 動かないベリトに向かって魔剣を振るい、光槍を突きつける。 しかしそれらは微動だにしない巨狼に簡単に弾かれ、返す一撃で大きく吹き飛ばされる。 人形のように転がり、地面に叩きつけられる。 それでも二人は闘うことをやめなかった。 敵うはずがない、というのは誰よりもアンゼロット自身が理解している。 彼等もまた、それは理解しているはずだ。 なのに彼等はなお闘いを挑み続け――彼女はそれを止める事ができなかった。 噛み締めた唇から血が零れる。 止めなければならない、と心中で思いながら、それでも魅入られたように身体は動かない。 それは多分――きっと、見惚れているからだ。 何物にも屈する事のない信念。 どれほど傷付いても決して退かない鋼の意思。 どこまでも単純で、どこまでも愚直で……だからこそ、それは震えるほどに尊く美しい。 「……まあ、構いませんが」 どこか遠くで、冷めた声が響いた。 「最初期の『刷り込み』があるとはいえ、いつまで抑えられるかわかりません。彼等のためにも、決断は早くしておいた方が良いのではないですか?」 冷淡に言い放ったリオンの言葉に、アンゼロットは顔を俯けて胸に手を添えた。 リオンが言う通り――そしてアンゼロットが理解している通り、二人の抵抗で状況が動く事はもはやない。 世界にとって二人の力は得難いものだ。 彼等が力尽きる前に、決断せねばならない。 神との契約を破り、自らの手でベリトを討ち斃す。そうすれば二人の命と世界を救う事ができる。 それが世界の守護者としては当然の選択だった。 だが――それは同時に。 彼等二人の意思と、目の前の彼等の姿を裏切る行為。 白銀の髪を震わせて、少女は静かに拳を握り締める。 (御赦し下さい、我が神よ。わたくしは――) ―――勝てねえな、こりゃ。 蓮司は自分でも驚くほどにあっさりと状況を受け入れた。 おそらくは共に並び戦うカズキも同じ心境だろう。 防御を完全に捨てて、総ての力をただ斬撃に込める。 だが、渾身の力を振り絞ったその一撃も、受けるどころか避けようともしないベリトにかすり傷一つすら付ける事が叶わない。 ベリトが虫を払うように――実際その通りなのだろう――腕を一閃した。 身体が吹き飛び、遅れて全身を貫く衝撃が走り抜ける。そこでようやく二人は攻撃を喰らった事を認識した。 最大限に手加減した一撃ですら二人の知覚と防御を遥かに上回っている。 それはもう、闘いとも抵抗とも言えない代物だった。 激しく地面に叩きつけられ、なお収まらない衝撃に地を抉りながら転がる。 もう受身をとる余力さえも残っていない。 ようやく動きの止まった身体を持ち上げると同時、 「……ぶ」 口からばしゃりと血が零れた。どうやら肉体が限界にきたらしい。 痛みはもう全く感じない。そんなものは既に通り越えてしまった。 ただ気力だけでがらくたのような身体を引き起こす。 近くには自分と同じく満身創痍のカズキがいた。 身体中傷と血に塗れ、左手だけでサンライトハートを握っている。 右腕は力なくだらりと垂れ下がったままだった。 お互いにそんなボロボロの状態を見て取って……二人の間に何故か苦笑が零れた。 「……損な性分だよな、お互い」 吐血した口を拭いながらそんな事を言うと、カズキは僅かに眉根を寄せて首を傾げて見せる。 「そうかな? 考えたこともなかったけど」 「……すげえな、お前は」 本気で言っているだろうカズキをまじまじと眺めて蓮司は感嘆の声を上げた。 「蓮司は違うのか?」 「当たり前だ。面倒なのは嫌いだし、楽したいに決まってる」 けどよ。 蓮司は言いながら魔剣の柄を握り締めた。 力を込めたつもりだったが、実際そうできているのかすらも怪しい。 「なんでか知らねえが、俺が納得できるやり方はいっつも面倒な事になるんだよ」 「……はは」 「笑い事じゃねえって」 吐き捨てながらも、蓮司の口元は笑っていた。 そして二人は表情を引き締めて目の前のベリトを見据える。 魔剣の切っ先を、光槍の穂先を、敵に向けた。 「じゃ、行くか」 「おう」 これで最後の一撃になる事は、既に二人は理解している。 そして、それがベリトに対して何ら痛痒を与えるものではない事も、理解している。 だが二人に退く選択肢はあり得ない。 何故なら二人の後ろには、護るべきモノがある。 何故なら二人の裡には、決して折れないモノがある。 ――たとえ勝つことは叶わなくとも。 ――諦めて負けることだけは、二人にはできない。 蓮司はカズキと同時に地を駆ける。 振り上げて振り下ろす力さえ惜しいと切っ先はベリトに向けたまま。 残された力を総て振り絞り、自らの身体を弾丸に代えて、巨狼へと叩きつける。 真っ直ぐに伸ばされた魔剣の刃が――在りえない感触を蓮司の腕に伝えた。 肉を裂く感触。ヒトを貫く手応え。 掠れた視界に銀糸の髪がばらりと舞う。 手にした魔剣を突き出したその眼前。 白刃に貫かれた世界の守護者が、そこにいた。 「ア――?」 蓮司はその光景を理解できず、声を絞り出すことさえできなかった。 こふ、と少女の口から血が零れる。 魔剣に貫かれたアンゼロットが蓮司に倒れこみ、 「――ベリト!!」 リオンの叫ぶような声が轟いた。 初めて出された指示、そして初めて聞く焦燥を伴ったリオンの声に戸惑ったのか、ベリトの動きが明らかに鈍った。 状況を把握できないまでも、反射的に蓮司は崩れるアンゼロットを抱え込む。 アンゼロットの闖入に攻撃を停止せざるを得なかったカズキが、その二人を護るように覆いかぶさった。 一瞬遅れて狙いの逸れたベリトの豪腕が奔る。 総てを破砕するその一撃は三人を掠めるだけに留まったが、その衝撃だけで三人はもつれる様に大きく吹き飛ばされた。 二人はアンゼロットを抱え込んだまま地面を跳ね飛ばされる。 元より痛みは感じなくなっていた。二人にとってはむしろ突然現われたアンゼロットに対する驚愕の方が大きい。 「アンゼロット、お前……!?」 「………痛――」 咳き込むように血を吐き出して、アンゼロットは小さく呻いた。 蓮司の魔剣によって貫かれた黒い衣装は、彼女の血を吸って鈍色に染まっている。 「……わたくしに、こんな事をさせるなんて」 力なく囁くその声は僅かに非難の色を帯びていたが、何故か彼女の口元は苦笑が浮かんでいる。 そして彼女は自分を抱えている蓮司を押し退けて、ゆっくりと立ち上がった。 「アンゼロット……」 「大丈夫です。貴方ごときの力でどうこうなるほど、ヤワではありませんわ」 彼女の言うとおり、見れば既に魔剣に貫かれた傷は消えてなくなっている。 裂かれた衣装から覗く白い肌には、その痕さえも残っていなかった。 「なんなんだよ、一体……!」 訳がわからず蓮司は呻くように叫んだ。 すると彼女はふうと一つ溜息をつくと、 「……貴方達のせいですから。ちゃんと責任、取ってくださいね」 蓮司の問いには答えず、アンゼロットはいつも通りの微笑を浮かべた。 口調こそ平静を取り戻しているように見えるが、その顔色は尋常ではない。 白磁を思わせる肌は更に白味を帯びて蒼白になっていた。 「おいっ!」 問い詰めようとする蓮司を無視してアンゼロットはベリト――と、それを見下ろすように宙に浮かぶリオンに向き直った。 一々話している時間はなかった。 目の前に二人がいる、というのもそうだが――それ以上に、別の意味で時間がないはず。 彼女はリオンを見据えると、精一杯の余裕を見せてから口を開く。 「この展開は貴女の書物に載っていましたか、”秘密侯爵”?」 「………ッ」 アンゼロットの言葉に、リオンが眼に見えて表情を歪める。 自らの存在意義に等しい書物を強く握ると、リオンは努めて――装っている事がわかる表情で声を漏らした。 「……その程度のゆらぎで書に記された運命が覆る事など、ありません」 「――ゆらぎ?」 そんなリオンの言葉を、そんなリオンの態度を、アンゼロットは満足そうに見届けてから微笑む。 魔剣に貫かれた自らの胸に手を添え、身を以って思い知ったその事実を胸に、彼女は静かに口を開く。 「――『コレ』はそんな生易しいモノではありませんよ」 「……? 何を」 アンゼロットはリオンの呟きを無視して一歩を踏み出した。 浮かべていた微笑を収めて、目の前に佇む巨狼を翠の瞳で凛然と見据えた。 「わたくしは世界の守護者。世界を喰らう者に与える力など持ち合わせません」 狭間の世界に凛と声が響く。 彼女は胸に添えた手をゆっくりと広げた。 「わたくしが力を与えるべきは―――」 少女の動きと共に、その身体から清廉な魔力が溢れ出す。 留まる事を知らず高まっていくその力は圧倒的で、しかしそれでも不快感は微塵も感じさせない。 眼前のベリトが吐き出す闇色に対して彼女の放つ力は白色。 同じ力を礎にしながら対照的な無限の魔力。 本来そうあるべき、限りない力を――アンゼロットは力強く、解き放つ。 「―――世界を護る者達!!」 闇を払う光が迸った。 少女の身体から噴き出した膨大な力が、世界を照らし出すように輝き、後ろにいた蓮司とカズキへと収束していく。 「これは――!」 アンゼロットが齎した啓示の力が身体に降臨すると同時、二人は自らの変化に眼を見開く。 当に絞り尽くしたはずの力が湧き上がって来る。 否、それどころかこれまで得た事のない程の活力が身体から溢れ出している。 驚愕と共に蓮司達がアンゼロットに眼を向けると、彼女は二人に力を与えた代わりとでも言うように身体が傾ぎ、その場に膝を付いた。 「アンゼロットッ!」 地を蹴って駆け出す。 アンゼロットを支えようと手を伸ばすと、それを彼女は首を振って拒絶した。 彼女は顔を俯けたまま、苦笑に近い微笑を漏らして囁く。 掠れるような声で、しかしはっきりと信頼を込めた声で。 「……貴方達には、成すべき事があるはずですよ?」 「―――」 二人は彼女に伸ばしかけた手を止めて、拳を握った。 そして項垂れるアンゼロットの脇を言葉なく通り過ぎ、彼女に代わって前に立つ。 相対するベリトの圧力が緩んだのを感じて、アンゼロットは僅かに顔を上げた。 目の前には彼女を護るように立つ二人の少年。 魔剣を携え、光槍を携え、揺ぎ無く立つ二つの背中。 たったそれだけの壁が、世界を喰らう巨狼の圧力を防いでいる。 アンゼロットは僅かな羨望と共に眼を細め、小さく笑んだ。 「そのような事に力を使うなど……正気なのですか……!?」 呻くようなリオンの声が響いた。 彼女の動揺はある意味当然のものではある。 守護者の力の使用は自身の消滅を招く行為なのだ。 にも拘らずそれをベリトにはなく蓮司達に使うなど、あり得ない。 しかしアンゼロットは、浮かべた笑みを更に深めてリオンへ言う。 「正気とは言い難いですね。わたくしともあろうものがこんな馬鹿な賭けをしてしまうなんて」 だが、元よりその『力』の萌芽は見て取れていたのだ。 例えば星々の軌道を導き操る魔王ディングレイ。 例えば未来よりの因果に守護された魔神。 人智の及ばぬ『運命』を掌握するそれらを、討ち倒すことは叶わずとも揺らがせてきたその力。 己が身に刻まれた破戒の痛み―― 一時的とはいえ寸断された契約の喪失感に、しかしアンゼロットは愉快そうに口の端を歪めた。 「貴女の書に記されたその『運命(シナリオ)』、変更させていただきますわ」 そうしてアンゼロットは目の前の二人――自らの手で神との契約に傷を付けさせた、憎むべき二つの背中に語りかける。 「――ちゃんと、護って下さいね」 二人はベリトを見据えたまま振り返らない。 互いに手にした得物を力強く握り締める。 「――任せろ」 蓮司はゆっくりと拳をカズキに差し出した。 カズキも同じく、蓮司に向かって拳を差し出す。 「何を隠そう――」 二人の拳が、背後で見守る少女に見せ付けるように、重ねあわされた。 「「――――俺達は、世界を護る達人だっ!!」」 残光を引いて二つの身体が疾駆する。 迫り来る脅威を見て取ったか、ベリトが絶叫を上げて闇の力を迸らせる。 だが、巨狼が吸い尽くした力が無限ならば、守護者の加護を得たその光も無限。 限界を凌駕する闇が炸裂するその刹那に、限界を超越した光が到達する。 爆ぜるような火花を上げて魔剣が疾走する。 その刃を駆る魔剣使いが見るのは未来の軌跡。 眼前の闇を、眼前の敵が動く挙動を、ソレが取ろうとする動きをまるで心を読むように把握して一歩を踏み込む。 閃く刃光。魔剣が己の『力』を――己の主さえも知り得ぬソレを振るう相手に歓喜するように唸りを上げる。 ――秘密侯爵の持つ書を絶対の運命が記されたモノだと呼ぶならば。 ソレは絶対の運命を覆し切り伏せる改竄の刃。 神のごとき力と、その運命を宿すモノを断ち切る、相克の力。 故に秘匿されしその名を『神殺し』と呼ぶ。 たとえ死して転生し、夢見る神の使徒と成り果てたとしても、その少女が『神』であった事実は変わらない。 なれば巨狼が得た無限の力は正しく神の力。 それゆえに。 かつて世界と運命を敵に回した裏切りの刃は逃さない。 神を切り裂く。運命を断ち切る。 守護者の力を得たが故にその魔剣に相克する存在と成り果てたベリトに逃れる術はない。 巨狼の身体が爆ぜるように吹き飛ぶ。 大きく裂かれた傷口からまるで血風のように闇が噴き上がった。 その闇を迸る光が撃ち祓い、吹き飛ばす。 黎明の輝きを纏ったサンライトハートがベリトの胸に突き立てられた。 その閃光は強大ではあるがベリトの力を討ち貫くには到底及ばない。 受け止められる。 光が闇に呑まれていく。 渾身の力を振り絞るカズキに、しかし無慈悲にも絶対的な力の差がのしかかる。 彼の放つ閃光に食いつくようにベリトの闇が纏わり付いた。 サンライトハートがぎしぎしと悲鳴をあげ、表面に亀裂が入った。 そして闇に押し潰されるようにサンライトハートが――彼の命が、粉々に打ち砕かれた。 ついさっき、斗貴子が見せた物憂げな表情が脳裏を掠めた。 "――ただの個人的な感傷だ" 昨年の春、彼が斗貴子によって与えられた新しい命――黒い核鉄は平凡だった彼の人生を大きく狂わせた。 錬金術や武装錬金、闘いなどと全く縁のない日常で生きてきた彼を、非日常の世界へと誘ったモノ。 それによって降りかかった苦難や災いは想像を絶するものだった。 ――だが、それでも。 "確かに黒い核鉄は忌むべきモノだが、それでもアレは……" ――それでもアレは、オレと斗貴子と自分を繋いでくれた絆なんだ。 だから。 「だから―――!」 千々に砕かれ崩壊した己が命に見向きもせず、彼は手を伸ばした。 その視線の向かう先は、その腕を向ける先は、ベリトの胸部。 それはそこにあるべきものではない。 そこにあっていいものではない。 例え何があっても、例えそれが忌むべきものであっても。 ―――決して、この手は離さない。 「―――来い!! オレ達の武装錬金!!!」 咆哮が力となり、力が形と成る。 闇の中心を内から突き破り、伸ばした手の先に現われる白銀の槍。 少女との絆の証を少年は力強く握り締める。 瞬間、黎明の輝きが狭間の世界総てを覆い尽くした。 その閃光の中心、カズキの姿が変質する。 胸に刻まれる核鉄の刻印。 その肌は灼けつくような赤銅。 淡い燐光を放つ蛍火の髪。 世界の生命を吸い尽くす存在、ヴィクター。 しかしかつて忌むべきモノであったそれは、忌むべき力であったそれは、ただこの時において総ての命を束ねる力となる。 「世界の皆の生命、アンゼロットさんの力、全部――全部!! 返してもらうッ!!」 吹き上がる闇の悉くを吸い尽くし光と転化する。 カズキは手を翻して穂先をベリトに向けると、咆哮と共にそれを叩きつけた。 「エネルギー全開っっ!!!」 迸る閃光と噴き出した闇がせめぎあい、弾け合い、喰らい合う。 この瞬間においてカズキの得た力は無限。 しかし源を失えども、この瞬間までベリトが得た力もまた無限。 完全に拮抗した力のぶつかり合いが辿り着く先は、互いの消滅に他ならない。 その両者にたった一つ――そして決定的に異なる事があるとすれば。 「――力が足りねえのか」 ――少年は一人ではない。 「だったら――コイツも持っていけ!!」 カズキの握り締めるサンライトハートの柄を、蓮司が片の手で握り締めた。 空いたもう片方の手に握る魔剣を、迸る閃光に叩きつける。 魔剣にはめられた真紅の宝玉が輝きを増す。 そして蓮司は、咆哮と共にその力を解き放った。 「――――魔器解放っ!!」 閃光が鮮紅(センコウ)へと変わる。 夜闇を討ち払う黎明の輝きが夜闇を灼き尽くす紅蓮の焔となって迸り、紅い月に染め上げられたその世界をなお紅く熱く染め上げる。 その圧倒的な光景に、駆け抜ける熱風に、見守る少女は身体を大きく震わせた。 それは何物にも屈する事のない。 何物にも消される事のない。 二人の戦士の意思を具現したかのような熱い衝動。 その身も、その心も、その魂さえも震わせる、燃え滾るような―――真っ赤なひかり。 「「貫けえええぇぇぇぇっっ!!!」」 迸る咆哮と共に満ちた鮮紅が、 ただ一つの欠片も残さず総ての闇を灼き尽くした。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/447.html
エピローグ 数日後、学校の屋上。 「ふぁああ~。眠い・・・・・。」 屋上で明はあくびをしながら昼寝をしていた。 執行委員と協力関係を結んだとは言え、それはデビルマンの身分を証明する為のものであり、 基本的に明は一人で動いていた。 昨日も、夜中にどっか別の世界のモンスター達と戦って一人寝不足である。 ぐ~、と腹の虫がなった。 そういえば朝から何も喰ってない・・・・・。 「腹減った~。」 「明様。軽い物ですが、お食事をお持ちいたしましたわ。あとこちらに食後のコーヒーも。」 そう言ってエイミーがホットサンドウィッチのセットを持ち出す。 月衣にでも入れていたのか焼きたてのままのサンドウィッチは明の胃を激しく刺激していた。 「おう。・・・・悪いな。」 そういって起き上がり、もぐもぐと食事を始める明。 朝から何も入れてなかった胃にハムサンドの味が染み渡る。 「・・・・・うん。うまい。」 「それはよかったですわ。」 明の横でコーヒーをカップに入れているエイミー。 「・・・・・・ところで、・・・・・・・・なんでお前がここにいる!?」 明がエイミーの存在に疑問を持ったのはサンドウィッチを全部平らげ、食後のコーヒーもしっかりいただいた後であった。 よっぽど腹が減っていたらしい。 「あら?ルー様がおっしゃってませんでしたか? 私“誘惑者エイミー”は意地でも明様を堕としてみせると」 たしかに、意地になってるとか何とか言ってた気がする。 前回の事件もエイミーの独断だったわけだし。 「・・・・・・確かに、前回の私は、いささか急きすぎていましたわ。 ですから・・・・・・今度こそ、じっくりと誘惑し堕とさせていただきます。」 覚悟してくださいましね?と笑顔で告げてくるエイミー。 「・・・・・・いや、なんというか・・・・・。まあいい。勝手にしてくれ。」 「ええ、当然、勝手にさせていただきますわ。」 どうせ何をいっても、エイミーのでかい面の皮を破ることは出来まい。 それに正直・・・・・飯作るのとか面倒くさいからありがたいし・・・・。 (・・・・・・・・・・って!まずい!!それじゃあ完全にコイツの思う壺じゃねえか!!) 慌てて考えなおす明 「おい!」 しかし・・・・・ 「ところで明様。あの者がウィザード達とまたなにやら関わっているようですが?」 あっさりと別の話題をとりだすエイミー 「ん?そりぁあムツミの奴はウィザード達と行動してるはずだし当然なんじゃあ?」 ムツミはウィザード達に協力を惜しまずこの世界を守り続けている。 ちょくちょく自分を揉め事に引っ張り込んでくるのが悩みどころだが、 まあいつもの事なんじゃあ・・・・・・・・・っ!!ってちょっと待て!!!!!!!! 「ま、まさか・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!」 嫌な予感が走る・・・・・・たしかに以前はムツミはウィザード達と一緒には行動していなかった。 だが、手を貸したウィザードの中には、今まで個人的にムツミと交流を続けていた者達も少しはいたのだ。 しかも、ムツミに共感した連中が・・・・・ 「まずい!!!!!!!!!!」 あいつ等!!『アレ』を実現するつもりだ!!!! 別にあいつ等が勝手にやってるならかまわないが、自分をその仲間に勝手に加えられては困る!!!!! 今まではムツミが大っぴらに表舞台で動けなかったから実現してなかったが!!!!! 「明様?」 「どこだ!!!!あいつは今、どこに居る!!!?!?!?」 「え!?えっ、ええ。私の下僕の話では『まじしゃんず=あかでみぃー』の方に向かったとか・・・・・・」 「ちっ!!また人の多い面倒くさいとこに!!!間にあえよ!!!デッ!!ビイイイイィィ!!!!ルゥッ!!!!!!!!」 言うが早いか、デビルマンに変身して慌ててまじしゃんず=あかでみぃーの方に飛んでいく明 「デビルウイィィィィング!!!!!」 「あ、明様!? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・行ってしまわれた。・・・・・・・・・誰かに見られたらどうするつもりだったのかしら?」 まあ、それならそれでエイミーとしてはありがたいが・・・・・・・・ エイミーの疑問に答える事無くデビルマンはまじしゃんず=あかでみぃーの方に飛んでいってしまった。 その頃、まじしゃんず=あかでみぃーは(ある意味で)世界の危機に瀕していた 「ふ、ふふふふふ!!!!!!は~はははははははははは!!!!!!!!!!!!!!」 「なぁぁぁ~はっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!」 「わあ~はっはっは!!!なのである~~!!!!」 やたらテンションの高い人達(主に男二人)のせいで・・・・・・ 学園に三人の笑い声が響く はっきりいって凄くうるさい。 「よ~し、いい笑いだ!!!タナロット君!!!!!! さあ!!!この私の最新兵器!!!!『ミミガー00ライザートランザムすぺしゃる』を使って この学園中を!!いや!!!!学園世界中をケモノミミで埋め尽くすのだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」 暑苦しい叫びを上げながら学園の教授の一人・・・・ ケモノミミに命を掛ける漢フランクラム・シュタイン教授が生徒の一人タナロットに命令する。 「らじゃ~なのである!!!!!」 元気よく教授の作り出したミミガー00ライザートランザムすぺしゃるの砲台を背負うタナロット ・・・・・・・・あきらかに何やってるかは理解していないだろう。 ミミガー00ライザートランザムすぺしゃるに自らの有り余る魔力を エネルギーチューブを通して充電していくタナロット 「よぉぉ~し!!!いいぞぉ~!!!!タナちゃん!!! 魔力の調整は任せろ!!!!」 そう言いながらタナロットの後ろで計器をガチャガチャやっているのは最後の一人佐久間榮太郎 萌えキャラをこよなく愛し、萌えに命を掛ける漢であり、トラブルに首を突っ込んでさらにしっちゃかめっちゃかにしてしまう トラブル・ブースターでもある困った奴・・・・・・ちなみに、一応こんなんでも学園の準教師である。 「そう!!!!我がミミガー00ライザートランザムすぺしゃるの力とタナロット君の魔力が重なればぁ!!! 学園世界中をケモノミミの楽園にすることなど!!!!! 巨神兵が世界を焼き尽くすよりも簡単な事だああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」 「お~う!!!今だ!!!火を放て!!!!である!!」 ・・・・とりあえず凄いらしい。 「むっ!!!シュタイン教授!!!!執行委員達が来たようだ!!!!!!」 ドタドタ!!!といろんな武器を掲げながら執行委員達がこちらに迫ってくる。 まあ、こんだけ騒いでれば誰だって気が付くと言う者だろう・・・・・。 「ふん!!我々の崇高な野望。ケモミミ帝国の建国を阻む愚か者共め。 佐久間君エネルギーは!?」 シュタイン教授の問いに、グッ!っと親指を突き立てて力強く答える榮太郎!!!!!! 「エネルギー循環率100%!!!!!いけるぞ!!!!タナちゃん!!!!」 「よ~し!!!タナロット君!!!!我が野望の邪魔をする愚か者共に正義の鉄槌を下すのだぁぁぁ~!!!!!!!!」 シュタイン教授がビシィ!!!と執行委員達の方を指差して叫ぶ!!!! 「了解である!!!ケモミミライザーふるば~すとおおぉぉぉ!!!!!!」 実に楽しそうに執行委員達にミミガー00ライザートランザムすぺしゃるの攻撃をぶつけるタナロット ・・・・実の所タナロット自体並の存在ではなく『未分化魔神』と呼ばれる存在である。 そんなもんの一撃をまともに耐えれるわけも無く・・・・・・・ 「「「「「「「「「うわあああああぁぁぁぁ~~~~~~~~もうだめだ~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」 ケモミミライザーの一撃が放たれたあとその場に残っているのは・・・・・・・ 「ぎゃ~!!!!耳が~~!!!!耳が~~~~!!!!」 「なんで豚ミミなのよ~!!!!!!」 「み、皆落ち着くんだにゃ~。気をしっかり持つんだにゃ~!!!!」 「にゃ~にゃ~うるさいワン!!!!!!静かにしろワン!!!!!!!」 「ってまずいですよみぃ~。だんだんなんかしゃべり方も動物っぽくなってきたですみぃ~~!!!!」 「あっ!なんかドックフ~ド食べたくなってきた・・・・・。」 「マ、マタタビが~!!マタタビがよう~!!!マタタビが足りね~んだにゃあ~!!!!!」 「ヒヒ~ン!!!私は馬です~。もっと罵ってください~!!!」 「いや~猫的には、ネコミミ仲間が増えるのはグレートキャッツビレッジ的にもハッピ~にゃんだけど~。 イヌミミだけはノ~センキュ~。こう~なんてゆうか?カレー的な意味で?」 「ガウ!ガウ!!ガア~!!!!(みんなおそろい~!!)」 「うっほっほ!!!ほっほっほっほ!!!!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「ゴリラ!!!!フレディー!!!!!!!!ちぃ~まずいぜ。うっ!!!俺もだんだん・・・・・体がメカっぽく!!!」 「いや、君たち変わらないでしょ」 完全に阿鼻叫喚の図とかしたケモミミ人間達の姿 先ほどの一撃の範囲・・・・・少なくとも直線で十キロはこれと同じ光景が広がっているだろう。 まあ、元から動物だったり、動物みたいなもんだったり、そもそも生物じゃないものには効いてないようだが 「か、完璧だぁぁぁぁああああ~~~~!!!!!」 「やりましたね!!!シュタイン教授!!!!!!」 「うにゅ??」 「うむ!これも二人が私に協力してくれたおかげだ!!!! さあ!!このまま一気に学園世界をケモノミミの楽園に作り変えてしまおう!!!!!!!」 「おう!!!!!」 「う~みゅ。よくわかんないけど・・・・・楽しそうだからいいのである~~!!!!!」 ケモミミライザーの威力に満足し、さらに学園世界すべてに進軍しようとするバカ三人 しかし・・・・・・・ 「よ~し!みんな!!いくよ!?」 学園の塔の上に隠れていた4人の影の一人が答える 「ああ!!!いよいよだぜ!!!みんな!!!準備はいいか!? ピンク!!ホワイト!!」 4人の中の一人、この中で唯一の男である少年が残りの二人に問いかける。 「・・・・・ね、ねえ。やっぱりやめない?」 ホワイトと呼ばれた少女が恥ずかしそうに答える。 「なにを言ってるんだよ。ホワイト!!あんな悪い人達、放っておけないよ!!その為に私達が居るんだから!!」 ピンクと呼ばれた少女がそれに反論する。 「い、いやあのね、マ「ピンク!!!」・・・・・はいはい。 ほら、まだグリーンも来てないし・・・・・それに、私ホワイトって言っても、ただ普段着が白いの多いだけで別に・・・・・」 「大丈夫!!!胸に熱い正義の炎があれば!!!キミは立派なホワイトになれるよ!!!!なあピンク!!!ブラック!!!」 「「うん!!!レッドの言うとおりだよ!!!!さあ!!!!!!!!!」」 そう言いながらホワイトに手を差し出すブラックとピンクの二人 ・・・・・これだけ騒いでるのにばれないものだろうか? まあ、下は下で騒がしいわけだし。 「それにグリーンなら大丈夫!!!!こっちに飛んできてるのを感じるから!!!!!!」 ブラックと呼ばれた少女が追い討ちを掛ける。すでにホワイトに逃げ場はない。 「う、うう~~。(誰か助けて~)」 元々親友であるピンクの付き添いで巻き込まれたようなものである。 彼女だけが乗り気でないのは仕方ない。 もう一人・・・・グリーンと呼ばれる彼が来てくれれば、止める事も出来たかも知れないが・・・・・・間に合いそうもない。 既に、レッドが下の三人に向かって叫んでいた。 「待て!!!悪党共!!」 「うん?」 シュタイン教授達がその声を聞いたのは、学園の外に出ようと校門前に移動した直後である。 周囲にはケモミミライザーの一撃を喰らった者達が、完全に動物になりきってゴロゴロしている。 「己の欲望のために人々をケモミミにしようとする悪のケモミミ帝国!!! お前達の野望も此処までだ!!!!!!!」 「な、なんだ!?」 「お~!!!!なんだかわからないけどかっちょいいのである!!!」 「くっ!!!私の夢が悪だと!?だれだ!!?姿を見せろ!!!!」 シュタイン教授が叫ぶ!!! 「私達なら!」 「ここにいるよ!!!」 「何!?」 「!!!上だ!!アカデミィーの塔の上だ!!!」 「くっ!!!逆光で何も見えん!!!!!」 「ふん!!心配しなくても今からそっちに行ってやるよ!!!!!トウ!!!!」 そういって4人の内の一人が真っ先に飛び降りる!!! 「私達もいくよ!!ピンク!!!!ホワイト!!!!トウ!!!!!!!」 「うん!!!!行こうホワイト!!!!!!トウ!!!!!!!!」 「はぁぁぁぁ。しょうがないな~。もう!!!!!!」 そういって次々と飛び降りてくる残り3人 「「な!?」」 「おお~~!!!」 普通なら自殺行為でしかないこの行為だが、彼等・・・・『ウィザード』達には関係ない!!!! 呆気に取られている教授達三人の前に降り立ち、それぞれのポーズを取るレッド達!!! 「ジャスティス=レッド!!山瀬京介!!!!!!」 「ジャスティス=ブラック!!ムツミ=アマミ!!!!」 「ジャスティス=ピンク!!蘭堂舞!!!!!!!!!!」 「・・・・ジャスティス=ホワイト。朔野美景・・・・・・」 「「「我等!!!!超☆正義戦隊『真・ジャスティスV』!!!!!!!!」」」 ドド~ン!!!!と4人の背後で爆発が響き、彼等の名乗りは終了した。 『ジャスティスV』それはかつてウィザードの一人山瀬京介が所属していた だが、互いに譲らないその激しいまでの正義性故に、わずか一日で解散した伝説のウィザード部隊である!! その存在は、しばしば失われた過去として扱われ、人々の間から忘れ去られていった・・・・・ しかし!ここに京介とその新たな仲間のもとジャスティスVは新たな組織『真・ジャスティスV』として蘇ったのである!!!! ・・・・・・ちなみに・・・・・『中坊戦隊』ではないのは京介が中学を既に卒業しているからである。 「お~かっこいいのである!!!!すごいのである!!!!!」 パチパチパチ!っと無邪気に感心して彼等に拍手を送るタナロット しかし・・・・・ 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 残りの二人は思いっきり胡散臭げな目を向けていた。 「ほ、ほらぁ~。だからやめとこうって言ったんだよ。あの人達、呆れてるじゃない。」 ホワイト=美景が恥ずかしさから顔を真っ赤にしてピンク“蘭堂舞”に詰め寄る。 「あれ~。おっかしいな~????」 ピンク=舞も予想外に反応が薄いのに困惑していた。 「大丈夫!!きっと俺達のあまりのジャスティス性に声もでないんだよ!!!」 自信満々にレッド=京介が言い切る。 「その通り!!!と、いうわけで!!!貴方達のたくらみもここまでだよ!!!! 覚悟しなさい!!!!!」 ブラック=ムツミも京介に同意して、もう一度シュタイン教授達に向かって宣言する。 だが・・・・・・ 「・・・・・・違う」 ボソリ、とシュタイン教授が呟く 「「「へ?」」」 「・・・・・・だから・・・・違うって。」 榮太郎が、むしろ可哀想なものを見る目で教授に続く 「大体ね?おかしいじゃないか?なんでVなのに4人しかいないんだよ?」 「「「!!!!うっ!!!!!」」」 「・・・・だから言ったのに。」 やれやれ、と呆れながら美景が呟く 残りの三人は、まさか行き成り核心を突かれると思っていなかったのか衝撃にたじろいでいた。 「Vなんだろ?Vなんだよなあ?Vってことは5人じゃないの~?な~んで4人なのよ?ん~? 俺が間違えてんのかなあ~?」 「い~ち、に~、さん、よん!大丈夫4人しかいないのである!!」 「だよねぇぇぇぇ??なんで4人なのかなぁ~???ジャスティス『V』さん???」 榮太郎がいやらしい笑みでジャスティスVに詰め寄る。 「そ、それは!!ちょっとグリーンが遅れてるだけだ!!!! グリーンがくればちゃんと5人になるんだよ!!」 京介が反論する。どっちにしろレッド、ピンク、ホワイト、ブラック、グリーンとかなりバランス悪いのだが・・・・・ しかし 「ふ~んそう。でもさ・・・・・・・・」 榮太郎がさらに詰め寄る。 「な、なんだよ!?」 「戦隊なのにさあ・・・・・な~んで5色のスーツ着てないのかなぁぁぁぁ~~~!!!!!」 「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」 ひぃ~ひひひひひひいひひ!!!!!! と、とても嬉しそうな笑顔で止めを刺す榮太郎 そう、ジャスティスVの面々はいつもの格好・・・・・・輝明学園の制服で現れたのである。 はあぁぁぁ。とため息しか出ない美景。 「そ、それは・・・・・」 「うううう。ま、まずいよレッド、ブラック、ホワイト。ジャスティスV始まって以来のピンチだよ!?」 「・・・・・舞ちゃん「ピンク!!!」・・・・・ピンク。始まっても何も、今日初めて出てきたばかりでしょ?」 「うう!!どうしよう!!!そうだ!!!この制服がユニフォームだって事にすれば!!!!」 「いや、それもまずいよピンク!!!だってグリーンは他の学校の学生だし!!!!」 「くそう!!!こんな所で俺達のジャスティス性が試されるなんて!!!どうすればいいんだ~!!!!!」 「・・・・・・なんか、ほんとにgdgdだなキミ等。」 「・・・・ええ、まあ。お恥ずかしい事に・・・・」 すばらしいまでのgdgdぶりにあきれ返る榮太郎。 美景も思わずそれに同意する。 敵前の目の前で作戦会議を繰り返す戦隊という、かなりシュールな光景が繰り広げられていた。 「・・・・・・・まあいいか。さあ!!シュタイン教授!!!!!タナロット!!!!!!!! ミミガー00ライザートランザムすぺしゃるの再チャージはぁ!!!!!!!!!!??????」 「「「え!?」」」「・・・・え?」 榮太郎が突然後ろを振り返り、シュタイン教授に聞く。 驚いているジャスティスVの面々を置いて、 シュタイン教授がグッ!!!!と指を立てて答える。 「超オッケエエェェェェェ!!!!!! いつでも発射できるぞ!!!!!」 「準備OKなのである~!!」 そう言うタナロットの背負っているケモミミライザーの銃身は思いっきりジャスティスVの方を向いていた・・・・・ 「「「「えええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」」」」 「な~はっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!! 愚かなりジャスティスV!!!!!俺が貴様等の気を引いている間にエネルギーの再チャージをしていたのだ!!!!!! さあぁぁぁぁ!!!!貴様等もケモミミになってしまえええぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!! そして!!!俺達を萌えさせろおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!」 「よ~し!!!タナロット!!!!!キミが勝利の鍵だあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」 「よ~し!了解である!!」 ニコニコとケモミミライザーを発射しようとするタナロット。 この距離ではジャスティスVに逃げ場はない!! しかも・・・・・・ジャスティスVのメンバーはほぼアタッカーであり・・・・・ぶっちゃけガードが苦手だった!! 「ま、まずい!!!!」 「逃げられないよ!!!!!!どうしよう!?!?」 「と、とりあえず私が月匣を展開して!!!!!」 「だめ!!!間に合わない!!!!!」 ジャスティスVの叫び虚しくケモミミライザーの魔力が彼等にも降りかかろうとしていた 「ひっさ~つ!!ケモミミ~」 ・・・・・その時!!! 「ライ「デビルカッター!!」ざ、あ?・・・・・・うにゃ?」 ぷしゅうぅぅ~~。と ミミガー00ライザートランザムすぺしゃるとタナロットを繋いでいたエネルギーチューブが切断されて そこから、チャージされてた魔力が風船の空気みたいに抜けていく。 「なああぁぁぁぁ!?!?!?ミミガー00ライザートランザムすぺしゃるがああぁぁぁ!!!!!!!!! 俺達の希望があああぁぁあ!!!勇気の証がああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」 シュタイン教授の悲鳴が轟く 「ば,馬鹿な!!!エネルギーチューブだけを狙うなど・・・・・。何ものだ!!!」 「む~!これ動かなくなったのである~。」 榮太郎が衝撃波の方向、遥か上空を睨みつける。 そこにいたのは・・・・・・・ 「貴様は・・・・・・!??」 「「「ジャスティスグリーン!!!!!!」」」 「だれがグリーンだ・・・・・。」 ジャスティスVの三人の叫びに頭を抱えながらデビルマンが言い返す。 ふとホワイト=美景の方を見るとジェスチャーで“止められなかった。ごめんなさい”と詫びて来ていた。 やっぱり間に合わなかったらしい・・・・・。 山瀬京介、蘭堂舞、朔野美景の三人は、執行委員達からなるべく隠れていた頃に偶然出会い、互いに協力し合った仲だ。 その時、京介と舞、ムツミがやたら意気投合して、いつかやろうとしていたのがこの『真・ジャスティスV』というわけだ・・・・ 美景と二人何とか止めようと、せめて俺たちと関わらない所でやるように説得したが・・・・・・・・・・・無駄だったらしい。 「くそうっ!!!!!よくも俺達の夢をおおおぉぉぉ!!!!こうなればぁぁぁ~。 ・・・・・・・・・タナちゃん!!!!!!や~っておしまいなさい!!!!!!!!!」 「アラホラサッサ~~である!!!」 いうが早いがタナロットがエネルギーチューブを取り外しいつもの軽装な衣装でこちらに向かってジャンプしてくる!!!! だが・・・・・ 「・・・・・・・・・」 更に高くまで上がるデビルマン 「はにゃ??」 ひゅ~~んと落下していくタナロット・・・・・地面に付いたらまたジャンプしてくる。 飛ぶタナロット・・・・・避けるデビルマン・・・・・落下していくタナロット・・・・また飛ぶタナロット・・・・・・ 「しぃまつったあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!! 空中戦闘用のロケットウェポンぐらい用意しておけばよかったああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」 「なああぁぁぁんてこったああああ!!!!!!!!!!!!!!!」 ぴょんぴょん飛んでるタナロットを尻目に馬鹿二人が、頭を抱えて叫んでいた。 それを呆れた目で見ているデビルマン。 「むうぅぅぅ!!卑怯であるぞ~!!!正々堂々と降りてきて勝負するのである~!!」 タナロットが下で喚いているが、あんな子供とやりあう気はない それに・・・・・ 「・・・・・・・・お。どうやらここの『用務員』がやっとここまで来たらしいな・・・・・。」 ニヤリっ、と珍しく悪魔らしい顔をしながら榮太郎達に向かってある忠告を行う。 「別に戦ってもいいんだがな。・・・・けどいいのか?ぼやぼやしてると用務員がここにやってくるぞ?」 「「えっ・・・・・???!!」」 榮太郎とシュタイン教授の顔が固まる。 更に・・・・デビルマンは周囲で完全に動物になってるケモミミ人間達を見ながら・・・・・・ 「なかなかおもしろい事をしてたらしいが・・・・・・さて『ヤツ』はどうなっているのかな?」 「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」 と、とんでもない事を言ってくるデビルマン 「「「「?????」」」」 「お~い!!なんでもいいから降りてくるのである~!!!」 事情が分からないジャスティスVのメンバーとヤバさに気が付いていないタナロットを傍目にみながら 「さて、俺もあまり、あんなのと関わりたくないからな・・・・・さっさと退散させてもらうぜ。 ジャスティスV!!!お前等も早く逃げた方がいいぞ!!!」 「「「「へ?」」」」 「じゃあ、おれは注意はしたからな!!!デビルウィーング!!!!!!!!」 「あ~~~!!待つのである~~!!!!!!」 「あ、ちょっと!!!!」 一目散に去っていくデビルマンとよっぽど相手にされてないのが悔しく それを追って去っていくタナロット・・・・・・まあ、タナロットは飽きたらすぐに戻ってくるだろうが・・・・・・ 「・・・・なんなんだ?一体???」 「さあ??」 京介と舞が頭を捻る 「デビルマン・・・・急いでたみたいだったけど?」 「うん。それに早く逃げろって・・・・?」 美景とムツミもなんの事かと頭を捻る。 「・・・・まあとにかく!!この機械を破壊しないと!!」 「うん!!そうだね!!!」 と、ジャスティスVの面々がミミガー00ライザートランザムすぺしゃるを破壊しようと各々の武器を月衣から取り出した ・・・・・・・・ちょうどその時 「あっら~~ん。何か騒がしいと思って来てみれば~~!!!!! なんてかわいらしい格好で吾輩を向かえてくれるのかしら~~!!!! もう!!!!!吾輩その格好見てるだけでイっちゃいそう~~!!!!」 きゃ~~!!と気色悪い野太い悲鳴を上げながら・・・・・・ナニカガヤッテキタ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だ? 何だあれ・・・・・?・・・・・・・・・何なんだあれ!!! それは、6対の純白の羽を持っていた。 それは、一般の人間が想像するような天使のリングを頭に付けていた。 それは、やたら盛大なファンファーレと共にやって来た。 それは・・・肉だった。 ただの肉ではない。・・・・・・筋骨隆々としたムキムキマッチョマン。 しかもそれがやたらとピッチピチのスパッツを穿いて下腹部のへその辺りから鈴をたらして くねくね腰を振りながらこっちにやってくるのだ!! おまけにさっきのケモミミライザーをしっかり喰らっていたらしく その頭には美しい豹柄のネコミミと尻尾がしっかりと付いていた・・・・・・・・。 「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」 榮太郎とシュタイン教授はそれを見て声にならない悲鳴を上げていた。 さらに!!!! 「あら?大変。怖がらなくていいのよ~。それじゃあ~吾輩がたくさんかわいがってあ・げ・る」 筋肉はそこらへんで本能から縮こまっているケモミミ人間達を一匹ずつ捕まえ、 ハグして、テッカテカに光ってる分厚い唇でディープな口付けを行いだしたのだ!!!!! やめてくれ!!!!と言う事も動物化しているからできない周囲に散らばるケモミミ人間達 筋肉天使の接吻のショックで皆、悲鳴を上げながら深い・・・・・・不快、眠りに落ちていってしまう・・・・・・・ 榮太郎とシュタイン教授は恐怖のあまり真っ白になってガタガタと震えていた。 ジャスティスVの面々もあまりのおぞましい光景に固まっている。 デビルマンが言っていたのはコレか!!!コレの事なのか!!!!!!! ・・・・・・・・今更気付いてももう遅い!・・・・ヤツは・・・・まじしゃんず=あかでみぃーの用務員ハプシエルは 既に皆の目の前、榮太郎とシュタイン教授の目前にたどり着いているのだから!!!!!!! 「あ~らもう!!二人とも吾輩の愛をずっと待っていてくれたのねぇ~。かわいらしい~~!!! いいわぁ~吾輩の愛でいっぱい甘えさせてあ・げ・る。」 語尾にハートマークが付く勢いで二人を抱きしめるハプシエル 「「~~~~~!!!!~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!」」 「あん!もう。そんな激しくじゃれついちゃってもう~甘えんぼさん達なんだから~!!!!」 「「!!!!!!!!!!~~~~~~~~~~~!ブクブクブクブクブク・・・・・・・ (ガク!)」」 段々と体の色が真っ白から真っ青に・・・・とうとう真紫になった所で泡を吹いて気を失った二人 「あらあら。安心したら寝ちゃったのね~。」 ほんと子供なんだから~と微笑みながら、残りのターゲット・・・・・ジャスティスVの面々に目を向けるハプシエル 「あらあらまあまあ~!!!!!!今日は本当に千客万来ね~。 でも、大丈夫。貴方達にもちゃ~んと愛を分けてあ・げ・る」 「「「!!!!!!!」」」 恐怖のあまり声もでないジャスティスV しかし 「げっ月匣~!!!!!!!!」 「あら?」 間一髪!!!!ムツミの展開した月匣が間に合い、ハプシエルを月匣内に封印する事に成功した。 へなへなへな~。とその場に崩れ落ちるムツミ 「な、なんとか間にあった~。」 「・・・・・・・・助かった・・・・・のか?」 京介が問う 「うん・・・・・多分・・・。」 「そ、そっか・・・・・・美景ちゃ~ん怖かったよぉぉ~~。」 そう言いながら美景に抱きつく舞。・・・・・・よっぽどの恐怖だったのだろう・・・・いまだに体が震えている。 「そ、そうね。恐ろしい相手だったわ。ムツミちゃんがいなかったらどうなっていたか・・・・・・」 正直、美景の体も震えていた・・・・・もしかして以前戦った冥魔なんかよりよっぽど恐ろしかったんじゃないだろうか? 「ま、まあ、とにかく・・・・・悪人も滅んだみたいだし!!これで解決だな!!!」 京介が榮太郎とシュタイン教授の亡骸にちらっと目をやって締める。 本当はこの後勝利のポーズとか色々考えてたんだけど・・・・・・今は、一刻もはやくこの場から離れたい! それは、残りのメンバーも同じだった。 少し早歩きで去っていこうとするジャスティスV・・・・・・・しかし ピシリッ!! 嫌な音が空間に響き渡った。 「「「「・・・・・・・・え?」」」」 ピシリッ!!ピシリッ!!!!! 音が段々大きくなってくる・・・・・・これは・・・・・まさか!!!!!!!!! ガッシャーン!!!!!と空間が割れる音がしてそこから丸太のように太い腕が出てきた その腕にはしっかりと『ラブ&ピース』の文字が!!!! 「に!!!!「うふううぅぅぅん!!!!吾輩こんな拘束プレイなんて初めて~!!!! 初めての感覚に吾輩ちょっぴりDO・KI・DO・KI~!!!!!」逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」 「「「「うわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」」」」 皆が一斉に逃げ出す!!!! ヤツから少しでも逃れるために!!!! 「あらあら~。今度は鬼ごっこなのね~。 うっふっふ~。おまちなさ~い、子猫ちゃん達~~。」 「来るなああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「「「嫌ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」」」 学園世界に少年と少女達の悲鳴が響きわたった。 『真・ジャスティスV』・・・・彼等がこの最大の危機を乗り越える事が出来たかどうかは・・・・・・・誰にもわからない。 「きゃああああああああああああ~~~~~~~~~~」 ムツミ達の悲鳴が聞こえてくる。 学園世界のはるか上空で腕組みをしながらデビルマンはムツミ達を眺めていた。 「やれやれ。ま、死ぬわけじゃないし・・・・・精々頑張れよ?」 まあ、美景ぐらいは助けてやったほうがよかったかな?と思わなくもないが あそこのメンバーのウィザードの中では彼女が一番経験豊富だし大丈夫だろう・・・・・・・ 「ああ!!京介君が~~~~!!!!!!」 「お、俺の事は良いから逃げろおおぉぉぉぉぉぉ~~~!!!!!!!!!!!」 ふと、他の所に目を向けると、別の所ではまたこことは別の事件が起きていて、 それを執行委員達や、他の者達がそれぞれ、時に必死に、時に面白おかしく解決している。 「まったく・・・・。騒がしい世界だ。」 クスリと笑いながらデビルマンは呟く。 あちこちで精一杯生きる学園世界の住人達。 皆、泣きながら、笑いながら日々を仲間達と共に楽しく生きている。 「・・・・・やっぱり。美しいな」 精一杯に生きる人々の・・・・・そんな人間達が作っていくこの世界のなんと美しい事か・・・・・・ この美しい世界(もの)を守りたいと思ったからこそ、デビルマンは戦うことができた。 そして・・・・・・これからも・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 「・・・・・さて!行くか!!」 そう言ってデビルマンは赤い羽根を広げてこの学園世界の空を飛ぶ。 この世界を守る戦士として・・・・・・・・ 今日もどこかで。 「はわ?さやかさん。あれって・・・・・・・」 「あ!そうですね。」 「どこに行かれるんでしょうか?」 「馬っ鹿!!簡単じゃねぇか、ネギ。そうゆう事は本人に聞けばいいんだよ!!」 「はわぁ。ひ~らぎらしいと言うか何というか・・・・・・」 「「あはははは・・・・・・」」 「いいじゃねえかよ。お~~い!!!」 ―――――――デビルマン――――――― 「・・・・・よかったのか?」 「うん?何の事だ・・・・・」 赤い・・・・赤い闇の中・・・・・・・・・フール=ムールがルー=サイファーに問う 「・・・・・・・・デビルマンの事だ。・・・・・・・求めてたんじゃないのか?」 “風雷神フール=ムール”時に男女の仲を取り持つ為に奔走する彼女だからこその疑問をルーにぶつける。 これで良かったのかと・・・・・・・・・・一緒に居たかっんじゃないのか?と・・・・・・・・だが・・・・・・・・・ 「ふん。笑わせるなフール=ムールよ。あやつを求めるのは、ただ戦力としての事・・・・・・貴様の思っているような事はない・・・・・・・・・」 そう言いながらルー=サイファーは、学園世界が映っている水晶を眺めていた。 水晶の中ではムツミ達が必死にハプシエルから逃げており、それをデビルマンが笑いながら見ている。 「・・・・・・・まあ、それならばよいのだがな。」 やれやれと、ため息をつきながらフール=ムールが去ろうとする。 男女の仲を取り持つのが彼女の生きがいだ。 この学園世界に数多くの学生達がいて、恋愛を育んでいる以上、彼女にルーだけにかまっている暇はない。 「ああ、そうだ。・・・・・・以前はご苦労であった。」 「別に。ただ・・・・・・アレではデビルマン・・・・・不動明は私達にも牙を向くだろうと考えた結果だよ。」 アレ・・・・以前のエイミーの策の時、万が一、柊達が間に合わず、デビルマンが学園世界の敵になっていたとしても、 裏でエイミーが動いていた事に気付いてた以上、ルーの配下になる事は無かっただろう。 それこそ、飛鳥了の記憶の中にある牧村ミキの時のように。 単にその対象が、ミキからさやかに変わっただけだろう。 それでは、意味がない・・・・・・ デビルマンはただ、ウィザードにもエミュレイターにも牙を向く存在として、打ち倒されるだけだったろう。 それでは、あの記憶の世界と同じ、ただの繰り返しだ。 「・・・・・・それで、デビルマンの事はまだ諦めてないのかい?」 フール=ムールが問う 「当然だ。あれだけの存在。今後の冥魔共や超至高神との戦いにおいて、放っておくには惜しい存在だ。」 あくまで、戦力としてデビルマンを欲するルー 「・・・・・戦力として・・・・ねぇ?」 「ふん。なにが言いたい?」 「いや別に。・・・・・・それでは、今度こそ、私は失礼させてもらうよ。」 「ああ、せいぜい人間共を交わらせてやればいい。」 「ふふ、そうさせてもらおう。」 軽口を叩きながらフール=ムールは闇に消えた。 恐らく、今頃学園世界のどこかで新しいカップルが出来上がっている事だろう。 「ふん。可笑しな奴だ。」 男女の仲を取り持つことに生きがいを感じる彼女、 だからこそ、自分とデビルマンの間に関わってくるのだろう。 己の好奇心を満たす為に・・・・・・・・・。だが・・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・・あいにくと、我は奴だけに関わっているほど暇ではない。」 そう、ルーには他にやるべき事が山ほどある。 己が力の回復、裏界の統治、冥魔共への対処などなど・・・・・・・・ 少なくともデビルマンだけに絡んでいる暇は彼女にない。 だが・・・・・ 「まあ、だからこそ、我を楽しませる為に頑張ってくれよ?」 明―――と、水晶を見ながらルーが呟く。 彼との記憶はあくまで、この学園世界が見せる夢でしかない。 しかし・・・・・・ 「貴様を求めるのもまた、この学園世界の見せる幻とはいえ・・・・我の本心なのだからな。」 笑いながら、ルー=サイファーは囁く。 飛鳥了の影響とは言え、彼にある程度の好意を向けているのも事実・・・・・だからこそ 「せいぜい、我に飽きられないようにな?明」 そう笑いながら、ルー=サイファーは学園世界に生きる者達をやさしく見守る。 彼女は魔王、裏界を統べる史上最悪の魔王。 だからこそ、 「さあ、我を楽しませてくれ、学園世界よ」 我が愛しき者達が、幸福の内に生きていけるように。と、金色の魔王は学園世界に語りかける。 彼女は金色の魔王ルー=サイファー・・・彼女こそ学園世界を見守り、人々を慈しみ見下す最悪の魔王 魔王はただ、妖艶に、美しく、優しく、そして冷たく世界を見つめ続ける。 いつか来たる神々との戦いのその日まで・・・・・・・・・ Fin ← Prev Next →?
https://w.atwiki.jp/shfarts/pages/635.html
仮面ライダーウィザード ランドスタイル(Kamen Rider Wizard Land Style) 商品画像 情報 登場作品:仮面ライダーウィザード 定価:3,675円 受注開始:2012年10月25日(金) 16 00 受注締切:2013年01月16日(水) 23 00 発送開始:2013年04月25日(木) 商品全高:約150mm 仮面ライダーウィザード×S.H.Figuarts S.H.Figuarts 仮面ライダーウィザード スペシャルページ 付属品 手首:×10(右×5、左×5) 武器:ウィザーソードガン(ソードモード/ガンモード) その他:アクション用ローブ、アクション用ベルト、専用スタンド一式 キャラクター概要 四角い黄色の宝石が埋め込まれたウィザードリングをウィザードライバーに読み込ませる事でスタイルチェンジした土属性形態。頭部の形状は力強さを思わせる四角形。パワーに秀で、ドッシリとしたスタイルから、「ディフェンド」による土の壁の防御を繰り出したり「ドリル」により自らドリルになって地面を掘り進んだりと、パワフルな戦い方をする。 商品解説 ウィザードシリーズ魂ウェブ商店限定第3弾。ランドスタイルが魂ウェブ商店で限定発売決定。 良い点 優秀な造型、塗装、可動 頭部、胸部のクリアパーツ使用 関節の緩さやベルトのポロリなど改善 付属台座のデザインがランドスタイル用になっている 悪い点 体が若干小さいので頭部がデカく見える ベルトがローブに干渉して持ち上がる事で胴が短く見える 不具合情報 関連商品 仮面ライダーウィザード フレイムスタイル 仮面ライダーウィザード ウォータースタイル 仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイル 仮面ライダーウィザード フレイムドラゴン 仮面ライダーウィザード ウォータードラゴン 仮面ライダーウィザード ハリケーンドラゴン 仮面ライダーウィザード ランドドラゴン 仮面ライダーウィザード インフィニティースタイル 仮面ライダーウィザード エフェクトセット01 魂STAGE(ルパッチ マジック タッチ ゴー♪Ver.) マシンウィンガー 仮面ライダービースト 仮面ライダービースト マントセット 仮面ライダービーストハイパー フェニックスファントム メデューサファントム 白い魔法使い コメント 届いたけど、肩の可動がユルいな・・・ -- 名無しさん (2013-04-26 19 00 22) 自分のも右肩緩いです… -- 名無し (2013-05-08 22 14 06) 名前 コメント